新海誠展に行ってきました

ちょうど今日(17.12.18)までの開催でしたが,先日国際新美術館で開催されていた新海誠展に行ってきました.なんで今まで何も音沙汰がなかったのかというと率直な話,あんまりネタバレになってはいけないと感じたからです.まあこの後札幌や北九州でも開催されるようですので,今回あんまりネタバレになれないように努力はします.でも少しネタバレしてしまうかもなので札幌や北九州のほうにはじめて行く予定のある方でネタバレさせると困るという方はこのページ読まないでくださいね.

<全体>

まず私が行った時期に関しては,あんまり早くいくと混んでいるのではとか少し保守的になって終盤に差し掛かったところで行くことにしました.それとわざわざ東京まで休日を使っていけるような暇がなかったので,ちょうど土曜日の午前中に新宿で仕事の用事があった午後を使って行ったのでした.そんなこんなで土曜日のお昼過ぎに国際新美術館に入館.招待券を持っていたのでチケットを買うことなく,入るときは待つことなく入れました.しかしあまりにも終盤過ぎたのか中は結構混んでいる時期でして,結局満足に見て回るためにはかなり時間をかけて人のいない場所をランダムに回りながらそれでも結構あわただしくすべての展示物を見て回りました.

ただ1点残念だったのは各作品のとっかかりのところで本編映像などを結構な時間で流しているので人がスムーズに流れないで,本編映像が終わったところで一気に流れ出して結果として決まったパターンで人が渋滞していたところです.まあ混雑時のみの不具合になりますが,君の名は。しか見たことがないような人は君の名は。以外のブースにおいて本編映像を食い入るように見ていたようで,まあBDを売りたいとかレンタル収入を伸ばしたい気持ちはわからないでもないのでそうせざるを得なかったんでしょうが,そこまでするのであればその後の順路で人が自然にばらけやすいような配置にすればよかったのにと思いました.

まあそうは言いつつ私の場合は順路をいろいろ工夫して全部見て回りましたので,文句を言える立場にはないですし,十分堪能できたわけですが.

<展示内容の印象的だったところ>

さて,展示内容に関してはまさに新海さんの仕事を網羅した展示内容でして,ほしのこえ以来の作品を順を追って見ていける内容でした.特に生の新海さんコンテ,製作指示書,それに対して安藤さんの下絵など実際の製作現場を生きた素材で伝えているのが圧巻でした.それに加え自分のものだけでなくスタッフの技術力,情熱をたたえているような展示,例えば秒速5センチメートルのあの桜のシーンの背景や花苗の表情の描かれ方をレイヤーごとに展示してあったりして,スタッフの技術力をたたえ,そして後進に伝えるかのような思いが感じられました.

私が興味深かったのはやっぱり当時のロケハン写真でしょう.実際私が巡礼したのはごく最近ですが,当時の背景ほぼそのままのロケハン写真はさすがに食い入るように見入ってしまいました.特に有名な秒速5センチメートルの細い路地を二人が駆け下りていくところ.私もアングルに納めましたが,どうしてもあの背景のようにならず,なんでかな?と思っていたら実際には少しデフォルメが入っていたようで,ロケハン写真と背景でちょっとした違いがあったりして,ああなるほどと感心しました.

後,ロケハン写真ということでは星を追う子どもにおいて長野県の風景が随所に使われていたところが意外でした.設定上はなかなか現実世界から背景をそのまま持ってこようとは思えないでしょうけど新海さんの心の中の小海周辺の景色というのはファンタジー作品でもそのまま使えるような情景として映っていたのでしょうね.

あと,君の名は。のオープニングで都心から糸守までずずずーっと寄っていくあの背景の作り方が実際の画像を重ね合わせる形で展示されていました.ただ,ここはちょうど狭い通路になるところからのぞくようになっていて,そのせいで余計混雑を生んでいるようでしたので,配置は札幌以降見なおしたほうが良いかもと思いました.

<展示内容の印象的だったところ>

展示の中には製作そのものにかかわるもの以外にも様々な展示がありまして,まず目を見張ったのが秋月くんが雪野さんのために作った靴が展示されていました.靴が先にあってそれを絵にしたのか,それとも絵をもとにして作ったものかわかりませんでしたが,靴底に新海さん宛のメッセージが書かれていたりしたので,前者なんでしょうか?まああるかも知れないなとは思っていましたが,実際にあったとは.しばし見とれてしまいましたが,あんまりおっさんが凝視していると脚フェチの変態オヤジに見えるので程々にしておきました.

あと新海さんの年代ごとの製作環境を示すPCやタブレットなど周辺機器の展示などもあり,思ったよりお金をかけずにやっているところにとても親近感を感じたりしました.そして新海さんの年表があって時代背景なんかも詳細に書かれていたのですが,そこに新海さんが初めて買ってもらったPCと最後に買ってもらったPCが書かれていました.最初はなんとMZ2000で,最後がX1Turboだそうです.部室のところではX68000という予想を立てたのですが,確かに小学校時代となるとMZ2000とか在りうるわけですよね.当時はカセットテープが一体でついていて20万円を超える定価がついていたと思いますが,あんなものを小学生に与えられるおうちはほとんどなかったと思います.そういった環境がクリエイター魂の醸成に大きく役立っているんでしょうね.

<もう少し細かいところ>

最後のほうですが君の名は。のカタワレ時やラストシーンの2人の表情.細かい製作指示が展示されていました.特にラストシーンのところには二人に対する思い入れや安藤さんはじめスタッフに対しての感謝などが感じられるコメントもあって,感慨深いものがありました.

こんな感じで細かいところを感じ取れてよかったという点もあれば,ビデオコンテをBDですでに見まくっている私からするとちょっと物足りない部分もありまして,コンテだけではなく新海さんの製作指示とは別に安藤さんが工夫したところや,口頭で伝えられた部分やなんかがあればもっとよかったのになと思いました.まあ,そんなのが羅列されていたら一日で回れなくなってしまうかもですが.

というわけで私が会場を出るときはもう夕方になってきていたのですが,その時点ではチケット売り場,入場ともに長い列ができていました.そして国際新美術館ということで定番のあの場所とかも行ってきました.とまあ振り返ってみると映画一本よりもずいぶん長い時間を過ごせたのでお得なひとときであったといえますし,大満足な内容でありました.まあ東京開催が終わってからこんなコメントしても誰のためにもなってないわといわれてしまうかもしれませんが.

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