テッシーについて(その1)

以前311のところでサヤちんが出てきましたので,今回はテッシーで行こうと思います.テッシーはサヤちんとともに言の葉の庭の小説の方にも出てきますが,今回はこちらのテッシーのみについて語っていこうと思います.なぜかというとテッシーについては語りたいところが多すぎるからです.なので2回に分けていこうと思います.

まず,言の葉の庭に引き続きなぜテッシーが本作でも登場したかの理由については,私も少し思うところがあったりします.多分このまんま次回作にも少し形を変えてテッシーは登場するのはでないかとか私は考えてしまったりしますので,まずはそこらへんの理由からです.

<テッシーというキャラクターの成り立ち>

テッシーはベースになったモデルの人物がいて,それは新海さんの作品とは切っても切れない存在だからと思います.そうです.テッシーのモデルは少なくともベースが新海さんその人だからです(いいきった!).そういうからには私がそう考えた背景についてお話ししないといけませんね.ということでまずはテッシーと新海さんの下記の点については,完全に一致します.

・田舎で生まれ育つ
・建設会社の御曹司
・メカ,電気に強い

これらの点はおそらくそのまんま新海さんなんだと思います.私はこれにある程度新海さんの願望が加わってテッシーが出来上がっているのではと考えています.

・背が高い
・行動力がある
・人目を気にせず自分の意思を表現する

あと,まあ格好が悪いという部分では

・坊主
・顔がおっさんクサい
・訛りすぎ

というのもありますが,それは愛嬌の部分なのか,新海さんの高校生時代がある程度当てはまっていたのかはわかりません.いずれにしてもそれらが全て合わさって,見事にテッシーというキャラクターが出来上がっています.

で,私が注目したいのは新海さんの願望部分です.まず,行動力です.新海さんの生い立ちから,どうしてもお父さんの後を継がなければいけないという思いは幼少のころからあったのではないかと思います.それが大学時代のバイトの経験などを経て,悪い言葉にするとそれを裏切るようなことになってしまった.ある意味高校時代からそのような行動力があったとしたら,周りの人を困惑させることもなくさらに今のお仕事でも高みに上がれたのではないか.新海さんの心の中に,そんな思いがあるのではないかと推測しています.

ちなみに新海さんのお父上の会社はまさに勅使河原建設の拡大版のような会社です.とても風土にマッチした建築や,さまざまな公共事業も手掛けています.リフォームの相談にも乗ってくれるなどある意味地方のゼネコンならではの守備範囲の広さで,新海さんをPRに使ったりしたらすごく効果がありそうに思います.でもwebを見る限り,お知らせのところで”君の名は.を応援します.”という短いコメントがある以外,何もつながりを感じさせるものはありません.

これはお父様がすでに新海さんのクライアントの中に大成建設さんがあるということに気を遣っているのだと思います.そして大成建設さんのCMでは建設業のお父さんの背中を見て育ち,大人になった今は大成建設の海外プロジェクトに携わっている主人公が出てきます.この主人公って,テッシーとは対極をなす平行世界にいる新海さんの焼き写しなのかななんて見てしまいます.大成建設さん向けの仕事ではあるものの,その中にお父上へのリスペクトを潜ませたのであれば,あのCMはとても心温まるものに思えてきてしまいます.

あと,上述の行動力のところにも関わるのですが3番目の人目を気にせず自分の意思を表現するというところ.これは,現在の自身の作品作りにも何かしらの不安を感じてらっしゃるのではないかと思うのです.クリエーターの存在はそれが大きくなればなるほど自分の創りたいものと,人に見てもらえるもののかい離に悩まされることになります.例えば”ほしのこえ”や”秒速5センチメートル”の頃は,創りたいものを作れていたように思うのです.それが”星を追う子供”のように見てもらうことを前面に押し出した作品にスイッチしてみたりの試行錯誤をやってきています.言の葉の庭でその点を少し軌道修正して,そこである程度の自分の意志と作品との合致を意識できたのではないか.そのもがいている自分を表現したのが即ちテッシーというキャラクターなのかと思います.

そして,本作のテッシーが大活躍するシーンは小説の中で”うつくしく,もがく”となっています.まさに新海さんは何度も何度も作品を作り上げていく中で,自分が”うつくしくもがいている”というのを実感しているのでしょう.なので,新海さんにはこれからもしっかりとテッシーと共にうつくしくもがいていただきたいなと思う次第なのです.

流石テッシーだけあっていろいろありすぎますね.ここらへんで長くなってしまいますので次回に続きます.

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