チャンバーガスケット交換

以前から気になっていたKSRのアイドリング不安定.特に冬場はエンジンが暖まるまではかなりアイドリングを高くしてやらないとエンストしてしまうような状況です.KSRのアイドリング調整はマイナスドライバーが必要なので,懐にドライバーを隠し持っておくか高いアイドリングのまま走り続けるかいずれかの選択を迫られるわけですが,大概ドライバーなんて持ち歩いていると突然職務質問なんかされた日には任意で連行されてしまうことでしょう.

ということでKSRはいつも高めのアイドリング調整で走っているわけです.でもこれだと信号待ちの間の排ガスがかなり臭い上に燃費も悪化してしまいます.エンジンにも決して良くないでしょうし,そろそろなんとかしなければと重い腰を上げたわけです.

と言っても,2ストのエンジンはいわば初めての経験です.何から手を付けてよいやら皆目見当がつきません.とりあえず見えるところからチェックしてみましょうと言うことで,エンジン周りを観察します.すると怪しいところが一ヶ所.チャンバーの取り付けフランジからうっすらとオイル滲みが...程度はそんなではないのですが,以前2ストのエンジンがチャンバーの取り付けが甘く排気漏れしていたおかげで焼き付いてしまったという話を聞いたことがあったので,敏感に反応してしまったのです.

ちなみに今付いているチャンバーガスケットは元々の車体についていたものを面倒がってそのまま流用したものです.良く考えればこれは漏れて当然です.4ストの場合はマフラーを付けるときには必ず新品に替えるのですが,排気量が小さいからか普段やらないことをやってしまったのでした.早速ガスケットを注文.

その週末までにものは到着したので,夏の週末朝早いうちから暑さを避けて作業開始です. 普段は家族の自転車の置くに追いやられているKSRを引っ張り出してきてチャンバーを外していきます.サイレンサーとの継ぎ目のゴムスリーブと,フレームへのマウントをはずしチャンバーを取り外します.KSRの場合は純正だとサイレンサーとのつなぎがゴムなので,このようにサイレンサーをはずさなくっても簡単にチャンバーのみを外すことができます.サイレンサーはシート下を横切る形になっているので,またこれをはずすとなるとシートカウルを外さなくてはならかったりと大変なので助かりました.

続いてEXポートにはまっているガスケットを取り出すとそれはオイルで真っ黒に変色し,新品に対して1mm近くも薄くつぶれていました.これでは気密が保てるはずもなく,ガスケットの体をなしていませんね.ということで早速交換です.チャンバーの内部についてもカーボンが堆積していないかを確認し,再びチャンバーを取り付け一旦エンジンをかけて見ます.

一応アイドリング状態の音は変わりました.以前は時折排気音が変わり回転が不安定になり極端に落ちてしまうことがあったのですが,それがなくなりました.しかしアイドリング回転を調整して落としていくとすぐにエンストしてしまいます.これは他に原因があるはずです.以前どうも吸気系の感じがしたのでエアクリーナーを見てみましたが,きれいそのものであったのでエアクリーナーは違う.チャンバーは純正なので,排気漏れがなくなった今排気系ではありません.点火系はプラグを抜いてみたらイリジウムプラグが少し汚れていたのでそれを掃除しましたが状況は変わらず.こうなるとキャブです.

でもいきなりキャブをばらして清掃なんてしません.よく考えたらこの車体はキャブについてはもともと車体についていたものでそれがちゃんと走っていた(事故るまでは)という前提で組んでいったので一度もいじったことがありません.アイドリングスクリューだけをだましだましいじっただけですので,そろそろキャブの整備をしてもいいかなと潮時をかんじてはいたのですが...

何かと言い訳がましいですが,まずやるべきことはキャブのサービスデータです.これらを入手してまずフロートの液面調整はやってみたところ大丈夫.次にエアスクリューの戻し量.純正だとKSR-IIの初期は1.5回転戻し.なぜか後期は1.25回転戻しに変わっています.このエンジンはもともと後期のものなので1.25回転が正解.で,実際このキャブは何回転かいな?と思いひとまず締めこんでいくと...あれれれ?なんと3回転近く回るではないですか.純正1.25に対して3回転ではこりゃ違いすぎないかい?まるで忍者でいうところのCVKキャブを大口径のFCRに変えたときほどのというときほどの違いよう.でもこのKSRは純正キャブなのでそんなに違うはずはありません.ということは私は低速時に初めっからこんなエアの多い=燃料の薄い状態で走っていたということ.

アブね〜!

2ストの場合は薄い場合はエンジンの焼きつきにつながるケースが多いので,いわばその状態が長く続いていたということ.しかもアイドリングをあげていたので,停車時やエンブレをかけたときにその危険な状況が顕著に影響するわけです.以前走れるようになったばっかりのときに軽い焼きつきのような状況を経験しましたが,それはもしかしたらこれが利いていたかもしれません.どうりで...と思いつつちゃんと1.25回転にあわせ,エンジンを掛けアイドリングを調整していきます.今度は少々低い回転まであわせこんでもエンジンが止まるようなことはありません.あんまり低いとアイドリングが低すぎてエンジンに悪影響もあるでしょうからそこは音を聞きながら常識の範囲にあわせこみます.


試運転です.低速のトルクは以前よりも強くなっており,回転をあげなくてもしっかりとトラクションを掛けてコーナーリングできます.以前は回せるだけまわして高回転でリーンアウトして,さすがモタード仕様だぜ!なんて勘違いしながら無理やり曲がっていましたが,今は普通にリーンウィズで以前より早い速度でコーナーをクリアできます.以前は信号待ちでエンジンが止まってしまわないかハラハラしていたのですが,今は力強くアイドリングしているのでまったくそんな心配はありません.

ビフォーアフターにこれほどの違いが生じて自分の勘違いもはなはだしく恥ずかしいのですが,まあはじめての2スト,しかも小型排気量ということで異常を見つけることが出来ませんでした.ここらへんはバイクいじりの深さということでまたお勉強になっちゃいましたね.まあバイク一台壊さなくってよかったよかった!

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