フロント周り(その2:Fホイール)

フォークのレストアで途中日没となってしまっていたのは,実はフォークをやりつつブレーキを清掃していたというのもあります.だってこの車体も例に漏れずキャリパーがフォークオイルをかぶってしまっており,間違いなくこのまま走った日にはオダブツまっしぐら.(死語)

ということでまずパッドを外します.しかしこいつがなかなか外れません.このキャリパーは1ポッド片押しなのでスライドシャフトを最大限キャリパーボディに押し込んでパッドを抜くのですが,それがなかなかパッドが外れるところまで動いてくれないのです.

そもそも車体についている状態でかなり固い印象だったのですが,今まで腐りきったような初期型忍者の片押し1ポッドを経験してきた私からしても信じられない程の固さ.それでも根気強く押し込んでいたらなんとかパッドを外すことは出来ました.今度はこれを抜かなければならないのですが,案の定固くて大変でした.で,これほど固いということはスライドシャフトかキャリパーが曲がっているかグリスが固着しているかのどちらかです.とりあえず抜けたシャフトとキャリパーボディの穴をクリーナーで綺麗にして目視チェックした範囲では,スライドに影響するような傷は見られませんでした.そこでちょっとだけグリスを付けてスライドさせたところ,とってもスムーズ.恐らくグリスが長期放置により完全硬化してしまったのが固さの原因と判明.

一安心して今度はオイルを吸いまくったパッドを綺麗にします.まずウェスでタール状にこびり着いたオイルを拭い,ブレーキクリーナーをガンガンかけては拭きを繰り返します. ブレーキクリーナーをかけても黒いシミが出て来なくなったらパッドはOK.スライドシャフトとキャリパーボディの穴に潤沢にグリスを塗布してパッドを組み込んで後はホイールを待つのみです.

さて次の週末.今度はホイールとタイヤをやります.ちなみにタイヤは溝はたらふくありますが完全硬化していてエアも抜け切っています.ホイールは恒例の錆が浮いていて,かなり見栄えの悪さに貢献しておりますので,タイヤは交換,そのついでにホイール塗装という流れでいきます.

まずはビード落とし.実際以前から使用している格安ビード落としもレバーが折れる他,一部溶接にクラックが入る等のトラブルが発生しており,作業中いつ破損,ケガの原因になるやも知れません.細心の注意を払って作業を進めたいところなのですが,いかんせんタイヤがあまりにも硬化してしまっているのか,ホイールにタイヤが固着してしまっているのか,なかなかビードが落ちません.あんまり力を加えるとビード落としが破壊してしまうので,円周方向に位置を少しずつずらしながら根気強く続けたところ,なんとかビードが落ちました.裏側も同じく作業して,レバーでタイヤを外すところまできました.

タイヤが外れたら,リムの内側が露になりましたが,その錆びというのが今まで見たことがないような酷い状況です.普通は酷くてもタイヤと間に何かが入り込んでいるだけなので,簡単に除去できるものなのですがこれはホイールの錆び自体がある程度の厚みを持っている状態であり,除去には普段とは違う方法が必要でしょう. まずリム錆びがどの程度のものであるか見極めるためワイヤーブラシ,スポンジヤスリの順で当てて行きます.でも3ヵ所錆が残っています.これらはまだ厚みを持っており,柔らかいものでは完全に平坦な状態に持っていくにはかなり苦労しそうです.

そこであんまりやりたくはないのですが,細目のヤスリを当ててシコシコ削っていくことにしました.さすがにヤスリだけあって結構楽に錆びは除去できたのですが,リムの内側がヤスリ目というのもイヤなので,そのあとをペーパーで仕上げておきました. さてリムが終わったので次はホイールの見栄えに該当するところです.リムの外側というのは傷がついているところは軒並み錆びていますが,実はそんなに深くはなさそうです.問題はホイールがプレス成形されたときに応力が残っていてそれが塗装の乗ったまま応力解放の方向に変形して塗装を剥がしてしまった感じの錆びです.

実際これが結構な深さを持っていて,外装部品でもないホイールのパテ埋めをするかどうか.またパテ埋めしたために重量バランスが崩れて振動が出たらどうしようなんて考えるとやっぱり塗装の剥がれているところを錆び落としして,その上から塗装するだけでお茶を濁そうなんて思うわけです.

ということでペーパーをくまなく当てて錆び落としが完了したら,そのまんま塗装に移ります.まずサフェーサを吹いて上下を入れ替えてまんべんなく白くしたら色付けです.色は今回何にするかと言うと,いつも目立ちにくいところで迷ったら必ずという定番になろうとしているGT‐Rのシルバーメタリックです.前回はなんにも考えず艶消しブラックにして,前後微妙に違う色になってしまい,ぱっと見た感じは誰も気付かないのですが経緯を知っているオーナーのみが異常に気にしてしまうという困った事態になってしまったので,今回は最初から純正に極めて近い色をセレクトしたのです.で,塗り上がりはとっても綺麗に出来上がりました.ここで焼き付けるためにドライヤーで炙りでもすれば作業効率と耐久性も上がるんですが,そんな面倒なことはしません.1週間の室内養生です.だって屋外でまたリムの内側が錆びちゃったらイヤなので….

さて次の週末早速タイヤをはめます.一応リムに傷がついてはイヤなので,リムにはマスキングテープを貼り用心します.まあタイヤをはめるのはそんなに大変なことではないし,KSRのタイヤ交換は一度紹介しているので,作業の内容は割愛しますが,やっぱりリムプロテクターのサイズが合っていないのが災いしてテープを貼っていたにもかかわらずちょっとリムに傷が入ってしまいました.これはすぐにタッチアップして目立たなくなりはしましたが,さすがにショック〜.

タイヤがついてエアを入れたら,ブレーキディスクを取り付けます.これでとりあえずフロント周りは組めるところまでこぎつけたわけですが,ちょっと待った.せっかくフロント周りを外したのですから,怪しいところは対応してしまわねば.ということでフロント周り,まだ続くのであります.

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