フロント周り(その3:その他)

さて,フロント周りもそろそろおしまいにしないとね.ということで何が後残っているかというと,ステムベアリング.どうも引き取りの時にフロント周りを外した時点で,かなりステムの動きがスムーズでないことに気づいていたのです.程度はというとそれはそれはかなりなもんで,ステムベアリングがかなり傷んでいるか異物を挟んでいるかではないかと思われ,いずれもこのまま使い続ければベアリングを砕いてしまいます.したがって何らかの処方が必要であろうと踏んだわけです.

さて早速恐る恐るではありますが,意を決してステムを外します.ステムをはずすのは2度目になりますので,前回のようにベアリングを散乱させるようなことはなく,はずすことができました.見てみると下側のベアリングはステム側かフレームのベアリングシートのいずれかにくっ付いたままで,上はベアリングシートに挟まったままでいてくれました.

それにしてもあまりにくっ付いたままなので,おかしいな〜と思いつつベアリングをひとつ取って凝視してみたところ,ベアリングの表面に着いたグリスがまるで粘土であるかのように堆積しています.ウェスでつつんで綺麗にしようにもベアリングがあまりに小さいためか全然これが落ちてくれません. 仕方なく超音波洗浄してティッシュで拭いたらなんとか粘土は取れました.実はその粘土の下はかなりがさがさに荒れてしまっているのでは?と半ばあきらめていましたが,この程度ならたいしたことはありませんので,今回はベアリングは再利用することに決定.

他のベアリングを綺麗に洗浄してティッシュでひとつひとつ拭いていきます.これがかなり地味な作業でその上40コ近い数をこなさなければならないので,私の性格からするとこの上ない苦痛です.これを乗り換え全てのベアリングを綺麗にし終わったら,早速車体に組み直します.まずステムの下側のベアリングシートにグリスを塗りたくり,ベアリングをひとつひとつ並べていきます.なぜか今回の車体はパーツリストに載っているよりも多い上下あわせて38ケのベアリングが入っていて前回より隙間を詰めて配置します.

フレーム側のベアリングシートにも同じく並べ,上側の蓋のようになっているベアリングシートを被せ注意深く下からステムを差し込みます.この作業も2回目ともなるとなかなか手際よく進めることができるようになっていて,ある意味快感を感じるようになっている自分にふと気づいたりします. ステムナットを締めていき,ステムを左右に振って抵抗を確かめながら締め付けトルクを決めます.最終的に落ち着いたトルクで引っかかりもなく,がたもなくなかなかいい感じになりましたのでステムベアリングは終了.

これでフロント周りのご紹介内容は以上かな?と思ったらそうでもありません.錆びが目立つ箇所がフロント周りにはまだまだあるわけです.まずはハンドル.ブレースの溶接部分を中心として各所錆びが浮いていて,まあ錆びが原因で折れちゃうまではないとして,乗車時に目に付いてしょうがない.あともう一点,メーターステーもメインキーの周りがかなり濃厚な錆びに見舞われています.ここもかなり目立つところなので,対策します.

もう既にこの車体に関しては飽きるほどやった錆び落としから.まあ全体が錆びているわけではないので,そんなには大変ではありません.塗装も外装部品ではないので結構いい加減な感じ.一点だけメーターステーのキーのON/OFFの銘板だけはマスキングしなければいけないので,特記すべきはそれぐらいでしょうか.実はこれらの塗装はフロント周りをばらしてすぐに行ったので,車体に取り付けるまで十二分に養生できたのです.

さてこれでフロント周りの部品は外装を除いて準備完了です.順に取り付けていきましょう.出来上がったステムにトップブリッジを取り付け,ひょいとフロントを持ち上げたら,下に庭に転がっていたプラスチックのゴミ箱を横にして差し込みフロントを挙げます.フォークを通したらホイールを取り付け,グリスをたんまり塗ったアクスルシャフトを入れます.またフロントを持ち上げ,ゴミ箱を抜いてサイドスタンドを立てます.車体を取り回してみると,前と比べて劇的に軽いのですが,まだまだ後ろはエアの抜けた硬化タイヤです.さらなる改善の余地が残っていつつもひとまずの効果にちょっと満足感.

さて残りの作業です.アクスルのナットを締め,フォークのガードを取り付けたらキャリパーを取り付けますもう外すときのような困難はなく,すんなり取り付けてハンドルを付け,マスターをハンドルに取り付けたらブレーキレバーをニギニギして感触を確かめます.でもオイルがかかっていたパッドを綺麗にしたので確実にブレーキ性能は上がっているのですが,まだ自走できるわけではないので本当の効果確認はそれまでお預けです.

さて,ここまではフロントフォークをやるついでに,ホイールやタイヤといったその都度外してつけるのが面倒臭いパーツを重点的にやっつけただけですが,まだまだフロント周りだけでもやらなければならないことはいっぱい積み残した感もあります.でもハンドルやメーターステーが美しくなったことでひとまずは心が休まるようになりました.取り回しが少し楽になったのもこの車体の世話をするモチベーションの底上げに十分すぎるほど貢献しています.

ということで,各所に渡って苦労しただけの甲斐があったなとつくづく思った私なのでした.

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