試運転(その1)

さて今回は正真正銘の試運転と行きたいところです.前回は原付2種の標識という些細なところで思わず手間がかかってしまいまで今回に持ち越しになってしまいましたので,今までにない意気込みで望みたいところです.

さて,引き伸ばしたわりに作業はまずガソリンを他車から移し換えるだけで,あとはヘルメットをはじめ装備をした上で,チョークを引いてキックするだけです.で,キック一発でエンジンはかかりました.が,チョークを戻してしばらくしたら,なぜかエンジンストール.うーん,こんなこともあるよね〜と思いつつ再度キック.かかわらず.何度か繰り返したのですが同じ.そのうち辺りがほんのりガソリン臭くなってきました.もしや?と思いプラグを抜いてみて見ると,しっとりというレベルではなくベチョベチョな状況.

鼻を寄せてみたところキャブ周りのガソリン臭さも半端ではなく,これは間違いなくオーバーフローの予感.早速キャブを外し中を確認したところ,フロートバルブが動いていない模様. そういえば前回キャブを清掃したときはフロートバルブは先っちょのプランジャがスムーズに動くかどうか確認して,そのまま安心してジェット類に移りましたが良く考えたらKSRのフロートバルブはシリンダーがネジ込み式で,その内側が摺動に最も影響を及ぼすはずなのにそれを全くチェックしていなかったことに気付きました.

フロートバルブを外してみたところ抜けてくるのにそんなに抵抗はなかったのですが,案の定シリンダー内は腐ったガソリンが乳化して固まった白い堆積物が満載しています.こりゃ動くはずないわ. シリンダーの内部とバルブシート,フロートバルブを掃除してプラグを清掃して再びキャブを組み,再始動を試みます.結果は?悲しいことに変わらず.プラグを見ると例のベチョベチョ具合がそのままで,これはオーバーフローが全く直っていない証拠.こうなると何かしら部品交換しないかぎりは復旧は望めません.早速フロートバルブとパッキン,あと大奮発してフロートを注文.次の週末を待ちます.

次の週末はちょうどかみさんたちがそろって出掛ける時間帯があるので,それぞれ時間帯をねらって作業開始します.キャブの脱着については前回エアクリーナーがわのダクトで散々時間を浪費したのでもう慣れたものです.ものの2分でキャブを外し中に残ったガソリンを抜き,フロート室を外します.

次にサクサクとフロート,フロートバルブを外します.新品のフロートと元のフロートを比較してみたところ,外観は元の状況からは改善されているものの,側面からみた状態でなんとフロートの直径が見てわかるほど違います.目検討でも約1mm新しい方が小さいようです.なんでこんなことになっているかチンプンカンプンですが,あんまり気にしていてもしょうがないので,フロートとフロートバルブを交換して,早速キック.キック,キック,キック….しかし全然目覚める気配なし.

せっかくフロートバルブなどを交換したにもかかわらずまだエンジンがかからないのはおかしいので,ひとまずトラブルシュート.まず車体周辺がすこぶるガソリンくさいので車体を見てみると,チャンバーの腹の部分がガソリンまみれになっています.どうも排気ポートからガソリンがもれているのか,チャンバーから直接ガソリンがもれているのかといった感じ.プラグを外してみると案の定びしょびしょです.プラグを拭いてスパークを確認したところちゃんと飛んでいました.再度プラグを締めてキックしてみたところ,エンジンがかからずチャンバーがびしょびしょ,せっかく耐熱塗装したのに〜.そしてプラグを外してみてもやっぱりびしょびしょ.

プラグを拭いて再セットして今度は側コックを閉じてキックしてみたところ,同じくびしょびしょな状況は変わらず.こりゃおかしいな〜ということであと2回繰り返しましたが結果は同じ.こりゃガソリンコック以外のところからガソリンがやって来ている可能性が大.まず疑ったのはチャンバー.だってキャブからガソリンが漏れれば,重力に逆らうことなくガソリンが行き着くのはチャンバーしかないと考えたのです.したがってチャンバーを外してみたところ,中から出るわ出るわ.約0.3リッターのガソリンとおぼしき液体が地面を濡らします.

 

うーん,これは酷い….こんな状況では火が入るはずがありませんね.ということで再びチャンバーを取り付けて再度キック,キック,キック….うーん,ダメです.プラグをみると相変わらずびしょびしょ.拭いてからコックを閉じてキックしてみましたが同じ結果でした.ここで手掛かりが欲しくなってウェブサーフィンして情報を集めます.その結果KSRでキャブのオーバーフローでエアクリーナーボックスにガソリンが溜まり始動不能になったというトピックが紹介されていました.恐らくこの車体についてもエアクリーナーボックスの方にガソリンが浸入して,吸気ポートからキックの度にプラグを濡らしているのでしょう.

となれば話は簡単でエアクリーナーボックスを外して中のガソリンを抜くだけです.でもKSRのエアクリーナーボックスというのは以前ご紹介した通りインナーフェンダーやバッテリーケースを兼ねておりますので,すこぶる車体から取りだしにくいのです.前回の記憶をたどれば,最終的にサスを外してスイングアームを下に下げた状態で初めて取りだせたはず.

今回はそこまで苦労するつもりはありませんので,なんとか楽が出来ないものか考えます.見てみるとエアクリーナーボックスは左右2つ割りになっています.ネジで何箇所が留められいるのですがこれらのうち下側の何箇所かが外せれば,そこからいやがおうにもガソリンが滴り落ちてくるはずです.

ただしこれらのネジを回すためには少しだけエアクリーナーボックスをずらしてフレームなどをかわす必要があります.そのためにやっぱりフェンダーなどは外さなければいけないのですが,サスを外すよりは全然ましです.然して作業は想定した通りスムーズに進み,ネジを3箇所も外せばガソリンが滴れてきました.

しかしこの滴る速さが極端に遅く,いつまで経ってもガソリンが止まりません.速めようにも中途半端にエアクリーナーボックスをずらしただけでは3本のネジを緩めるのが精一杯です.ここはあたりのガソリン臭さは我慢して待っている間他の作業にあたることにします.と言っても特に必要なら作業が見つからなかったので,プラグを交換してみました.プラグは今までは純正からひとつ熱価が高いBR9ESがついていました.熱価が高ければすなわちかぶりやすいということになりますので,これを手持ちのBR8ES(一応程度良好な中古ということで…)に交換しました.

さてプラグを交換したぐらいではあんまり時間稼ぎにはなりませんでしたので,もう少しの時間を潰したところでほぼ滴りが止まりました.見た感じでは0.1リッター強がオイル受けにたまっていましたが揮発した分もあわせると小さいエアクリーナーボックスの中にかなりな容積比率でガソリンが溜まっていたのだと思います.これじゃエンジンがかからなくなって当然ですよね. エアクリーナーボックスの組み付けのついでにキャブをエンジン側からも外し,ワイヤーでぶら下げた状態でガソリンタンクを繋ぎガソリンコックを開き,念のためオーバーフローしないかどうかチェックします.どうやら大丈夫なようです.

さて,ここで佳境に入って来はしましたが,そろそろ長すぎるので次回に続くのでした.

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