ハンドルスイッチレストア

ネジに次いで錆びの影響が深刻に思えたのがハンドルスイッチです.陽を浴びて外観が悪くなっているのは私としては極あたり前のことであり,いわば気にも止めていないのですが,各スイッチの動きがことごとく渋いのがどうもいやな予感.思い返せば入手してすぐに一度度すべてのスイッチの動きを確認してはみたのですがあまりの固さにほとんど動かさないであきらめたという状況.いろいろハンドルスイッチ周りで苦労したザンザスのときでさえもスイッチの動きは全て確認していましたから,これほどに危険な香りがするのは今まで車体に付いてきたものと部品で入手したもの数ある中ではじめてのことなのでした.

さて早速車体から外します,でもなかなか時間が取れず作業は長らくお預け状態.というのも,このハンドルスイッチの作業というのは接点や部品の状態を確認したり小さな部品の紛失を防止する意味からリビングテーブルの上で作業するのですが,それを家族のいる前でやった日にはやれ汚ないだテーブルが使えないだうるさくて仕方がないわけです.

それで汚ないスイッチをいつまでも玄関に置きっぱなしにしていては所詮家族感情は悪化する一方ですので,そろそろ観念しようかな?と思いかけたところで,ようやく家族が全員出っ払う休日の午後が現れました.それもお天気が悪くとても外での作業は出来ない日.こりゃ好都合ということで早速作業開始.

まず簡単そうな右側から.こっちはスライドスイッチだけなので,接点の状態を確認して場合によっては磨くだけ.まず上下分割してスイッチを押さえている金具を除去.スイッチの側面に付いているネジを外そうとしますが案の定固着していてびくともしません.こんなこともあろうかと既に方策は練ってありまして,とりあえずスイッチが外れなくても接点の確認が可能なことがわかっていたので,接点の部品を飛ばしてしまわないよう気を付けてハーネス側の部品を取り外します.ここで接点とご対面したのですが,これが全然問題なさそう.

なんで動きが渋いのかしら?とスイッチがボディに押し付けられ,ノッチが入っているあたりに白い腐食がありました.そういえばKSRはスイッチのボディが今までのオンロードバイクと違いアルミ製なのでした.スイッチ側には恐らくボールベアリングが入れられていて,プランジャになっていると思われ,鉄とアルミの間で電解腐食が起こっているようです.

ならば鉄球とアルミの腐食具合によってはこのスイッチは使えないかもしれません.でもこの部分はスイッチのクリック感に影響することはあってもスイッチとしての機能を満たさないほどの不具合は相当な腐食がない限りはなかろうと思われます.従ってスイッチとスイッチボディの間にグリスメイトをブシュっとひと吹き.あとは少しずつ力を加えつつスライドさせて動きが通常レベルになったら接点からのハーネスどうしのコネクター端子間の抵抗をチェックして終了. ちなみに私の場合このチェックでは導通時の抵抗値は0.5オームを目安にしています.本来ならばもっと低くを目指すべきなんでしょうけど,それの対策するのが大変だし,大概の場合使うのに問題はありませんので.ただスターターとキルスイッチは影響があるので0.1オーム以下にしています.

で押さえ金具を戻し,右側は終了なので左側に移ります.ボディを上下割にしただけで,その金属部品の錆が尋常でないことがわかります.こっちはウィンカースイッチがあるので,もし摺動が渋い原因が接点の不具合であれば,ザンザスのときのように代替を用意するなどしなければいけません.されどKSRのスイッチなんて手持ちがないのでおのずと分解するにつれ緊張感が高まります.で,果たして結果は右側と同じくスイッチに連動して動く接点ゴマとボディとの間に腐食が発生していただけでした.

一方接点の方はライトスイッチやホーンを含め元気そのもの.ということですべてのスイッチについて摺動部をグリスアップして改善してしまい,抵抗値と接点のOn/Offも問題なし.なんだか拍子抜けしてしまいました.これではつまらないので,作業追加です.今度は見栄えについて対策することにします.見栄えで一度気になるのがスイッチそのものの白化です.KSRの場合はボディがプラスチックではなく金属に塗装しているのでボディはいいのですが,スイッチはプラスチックで特にライト,ハイビーム,キルスイッチがかなりひどく白化していてずいぶんとみすぼらしい印象に貢献しています.

これらを一体どうするかちょっと悩みましたがその中で面白いことに気付きました.スイッチの表面をふと爪でこすってみたところ,プラスチックの地の色が顔を覗かせたのです.調子に乗ってスイッチ全体をカッターで一皮剥いてみました.するとかなり隣のスイッチに比べると雲泥の差の美しさになりました.まあこのままでは傷だらけに見えてしまうので,少し表面を整えておきましたが,3つの縦スライドスイッチとウィンカースイッチについては同じくカッターで一皮剥く戦法でクリア.

こうなると目立つのはホーンスイッチのピンクさ加減.もちろん色あせによるものですが,これもなんとかしたいということで,赤マジックで塗り塗り.これでかなり見栄えが改善されました.

あとは車体に取り付けておしまい.う〜ん,結構手ごわいと思ったのですが,放置期間中に接点を動かしたり通電されたことがなかったのが幸いしてかあまりにも簡単に終わってしまいましたね.まあ,簡単に済んだんだからいいじゃないのということですよね.普通の人は...

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