リアタイヤ交換(D207GPスター)

リアにオーリンズを奢り,イッパシになったリアまわり.すると力不足を感じざるをえなくなるのがタイヤです.とくにこの冬は暖冬の予測も大幅に外れ,朝の冷え込みはツンドラを思わせるほどの寒さ.こんな状態でサンデーライダーの私がZXRを走らせると,否応無しに低いリアの信頼感ゆえ,究極のタコ走りになってしまいます.新品の評価をして耐久性と雨天時の排水性の部分のみ突出した性能ダイヤグラムを持つM59Xが,今となっては既に5年選手.5年も経過した状態では朝の超低温,経年変化による表面硬化などの逆境も手伝って,まるで強化プラスチックで出来ているのでは?と思うほどグリップしてくれません.実際溝の底はちょっとマイクロクラック気味(T_T).加速時はもとより減速時にちょっとハードにリアを踏み込むとムニュムニュと滑りはじめ,コーナーの入り口で既に逆ハンなんてことが日常となってしまっていました.殆どバンクもさせずに逆ハン切りながらレーサーレプリカが大した速度も出さずコーナーをクリアしているわけで,人に見られるとホント恥ずかしい.

まあフロントはD207GPを付けているので,あまりのアンバランスさも手伝ってこんなことになっているわけですが,去年のフロントのA59Xが多少ひび割れようが段減りしようが真剣に交換を考えなかった私もあまりの危険さについにお手上げ.交換を決心しました.で,YAHOOオークション.うーむ,新品を履こうという選択肢がまったく出てこない私にちょっと感心.それにしても便利な世の中!

で,いろいろ探しましたが,なかなか中古タイヤといえど安く落札させてくれるような甘い話はありません.まして現行のレース用ラジアルであるD207GPなぞそうそう安く落札できません.しかも季節的にはレースもオフシーズン.流通量が減ってきています.で,しかたなくBT56の古そうなのを予算内で落札.まあ現状より改善できればいいか?と考えました.サイズは180/55ZR17.1サイズアップ.H1は'89年の発売ですが,設計的には180/55を見据えて5.5インチリムを採用したそうです.でも,この時点で市販車最大サイズが170/60であったので,180/55で認可を通すことを敢えてしなかったようです.よってリム幅,チェーンや周辺部品との干渉なども全く問題無く装着できます.私の走りからいくともともとどちらでもよかったのですが,中古タイヤなんてのは170/60だろうが180/55だろうが,値段差は無いので気にしません.それに170/60よりも180/55のほうが圧倒的に流通量が多く,しかもレースユース後ということもあって私の必要とする真ん中の山が非常に高いというメリットもあります.

で,しばらくすると出品者の方から連絡が入り,BT56ではなくD207GPスターではだめか?とのお話がありました.またお近くにお住まいとかでしかも交換作業も格安でやっていただけるとのことでした(バランスは無し).実は落札後その方の他のオークションを見たところ近所のお住まいで,交換も場合によってはやっていただけるようだったので,落札後のメールにて打診しておいたのですが(^^;...スターはBT56の落札価格よりは多少高くなってしまうとのことでしたが,今の私にとってこんな美味しい話はありません.即答の二つ返事で,翌々週末に交換作業をお願いすることにしました.

さて,D207GPについて聞きかじった話.(まったくの噂ですので話半分に読むかこの段落は読み飛ばすかしてくださいね.)D207GPはレースをやる人の間でその性能についての賛否が真っ二つに分かれたタイヤであるというのを聞いたことが有ります.路面に吸い付くような感じでグリップが最高であるとの評価に対し,ストレートでフロントがぶれて使い物にならないという酷評もありました.で,D207GPをフロントに入れた私はどうかという話になります.で,僭越ながらコメントさせていただきますと,私のは17○までは全く問題がありませんでした.まあ問題がないといっても所詮中古タイヤですし.レースで実際問題が出たのが200k以上のお話なのだそうで,私の評価は全く無意味なものなのです.とほほ.で,色々原因を推測した方が居られて,その結果このD207GPはあまりにも自重が軽いため,ホイール自体のバランスが大きく崩れている場合,バランスウェイトをいくら抱かせてもバランスが取り難いことがあるのではないか?とのことでした.当初はUKダンロップで製造されているから精度が悪いとかいう憶測もあり,それが結構まことしやかに噂されましたが,D207GPが華々しくデビューして日も浅いうちにD207GPスターが出てきたのもなんとなくその噂の信憑性を上げてしまったような感じがします.でも私が色々講釈滴れても自分で実践している部分が全く有りませんので,薄っぺらいですな(^^;.ともあれ,私としましてはフロントD207GPに対してリアD207GPスターというのは現状からすると同一銘柄であるも一緒.なんにせよ交換の効果にわくわくする〜.

さて,お約束の交換当日.その日は結構激寒.防寒対策を完璧にしてお出かけ.いきなりリアが流れて生命の危険にさらされること数回.でも約束の時間にほぼ間に合う形で出品者の方のガレージへ.レースに参戦されているようで,レーサーと思しき車両と,一通りの作業が出来るよう整然となった内部の様子はうらやましい限りです.タイヤの状態を確認し(センター山で7-8分山),早速作業を開始していただきました.実は一連の作業を見学させていただいたのですが,私の持っている工具との違いは,ビードブレーカーがちゃんとしたのがあるぐらい.5年落ちのM59Xは硬化が全体におよび,その方のご苦労の様ももただ者では有りませんでしたが,実にてきぱきと作業が進められて,ついにD207GPがホイールに嵌められました.CBRのときはここでビード破壊が起き断念したわけですが,うーむ,やっぱり上手い下手があるんでしょうね.私のやり方は体重をかけるポイントが微妙に上手くなかったり,タイヤを嵌めるときのレバーの向きが悪かったり.あとレバーが4輪と同じやつで,作業性が若干悪かったり.お話を聞くとD207GPシリーズは嵌めやすいそうです.一方D207は硬く嵌めにくいとか.また今度やってみようかしらなんて誘惑が私を襲います(^^;..しかし,アクスルを再装着するときに知らされましたが,アクスルナットが殆ど締まってなかったとか.前にチェーンの遊び調整をしたのが半年前ぐらいだから,その間まったく気づかずに乗っていたことになります.コッタピンがある限り即大事故になる訳ではありませんが,ちょっと背筋が冷たくなりました.あとでトルクレンチをかけるつもりで作業を進めて,忘れていたというのが真相でしょうが,これからはちゃんとトルクをかけたかどうか確認するようにしようっと.

さてM59Xの並々ならぬ硬さにもかかわらず格安の作業料(ほとんど作業に使ったグリースや油脂類,コンプレッサで電気代合わせたのと同じだったりして)と代金をお支払いして,帰途につきます.

まず,乗り出して一発目.加速時にスイングアームのトラクションがちゃんと効くことを実感.今まではトラクションが効くところでタイヤが滑っていたので感じることは出来ませんでした.せっかくのオーリンズが死んでいたわけですが,フェニックスのように蘇りました(←大袈裟).あとなんだか分かりませんが,倒し込みがスムーズになり,コーナーリング中の安心感も増しました.サイズアップについては今までバンクさせること自体が非常に危険なことでしたので,多少重い切返しになっても気にもなりません(^^;.しばらく安心して乗ることが出来そうです.しかし,前後サイドが溶けてるタイヤになってしまって,これで峠の途中なんかで休憩してると,速そうにみえるんでしょうね.でも速くないから煽らないで頂戴ね〜.

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