プラグコード交換

暖冬暖冬といわれていた冬も本格的なものになり,この世の終わりかと思いぐらい寒い朝が続いた週末の土曜日.ちょっと暖かさも戻った中,さあZXRのセルをキュキュっとな.あれ?止まっちゃう.えい!じゃあもう一度!ありゃりゃ?吹け最悪(ToT).でも一応アイドリングはするようになった.あっ!ちょっと息付く.ああっ!とまる...止まらない.うーむ...考えること2分.暖気が済んでもちょっと失火状態になることがあって,なおかつ回すととりあえず加速する.けど加速が若干鈍い.プラグそのものよりもこれは!そうプラグコード!ダメならキャップもかな〜.というコースメニューではないですか!多分プラグそのものは2年前(;_;)に換えてるから.クリーニングだけでなんとか...そうと決まれば状況再確認という意味もあってライコランドまでは無理としても比較的近くのドラスタへ.

プラグコードというのは寒暖差と湿気に大きな影響を受けるようです.すごい寒くて湿気があるとプラグコードの周りの絶縁層の周りに結露した水滴がつき,これが悪さをするみたいです.といってもこの場合コードそのものが逝かれるのではなくて,コードの両端の部分が逝かれるわけですが,こうなったらコード全部を換えるしかないわけです.で,ZXRを走らせながら観察すると,暖まってくると失火は少なくなりました.でもどうも加速そのものはあまり良好とは言えないようです.相変わらず低速のもたつきは明らかに普段のものとは違いますし,アイドリングは息付く瞬間があるのが気になります.

そうこうするうち到着.プラグコードはキャップ付きの物が大体1500-2000円/本.コードのみは100円/10cmから...でZXRはというとパーツリストを見る限りはキャップのみは入手不可能.キャップとコードはASSY交換となります.といってもキャップとコードは簡単に取れますので,コードだけ交換しても問題は生じないと考えました.キャップの形は長い鎌首のL字型.どのメーカーも適合表にH1の記述は有りません(T_T)...まったくストレートなキャップの場合は問題は無いと思うのですが,どーもダストシールが綺麗に嵌らないのが気に入らない.で今回コードのみで様子を見ることにしました.長さについても1.5m有れば足りるとは思うのですが,失敗したときを考えて今回2.5mお買い上げ.

で何を買ったかというとテイラーシリコンコードの青.青の理由は特別には有りませんが丁度売り場にあったボビンに巻いてある巻き数が多くって曲率が大きかったのがとりあえずの動機です.性能劣化の可能性という点では曲率が小さいよりも大きい方が良いです.小さい曲率で巻かれた状態で店に有るものは性能劣化も考えられるかもというのがその理由ですが,あとで良く見たら意外にかっこいい色じゃあないですか.気に入ってしまいました.でも気になる点が一点.直径が太いのです.絶縁性はケーブルが太いに超したことはないのですが,実際その両端を純正で繋ごうと考えているので,何かしらの問題が生じることは確かです.まあそこらへんはあたって砕けろ根性丸出しで,とりあえず青いコードを家に帰ってしげしげと眺める私...

早速次の週には組み付けです.まず,イグニッションコイル-プラグキャップまでを外します.H1の場合はタンクを外すのにサイドカウルを外す必要がありますが,もう手馴れたもんです.コードの引き回しを覚えておくためデジカメで写真も撮って,後は室内の作業です.まず長さを揃えて切って(出きるだけ端面が直角になるようにカッターで切ります.店員さんはニッパで切ってましたがそんな端面はトラブルの元と考えました.),プラグキャップ側を取り付けます.こちらはキャップ側のセンターにタッピングスクリューが立っていて,ねじ込むとコードの胴体部分が押し広げられながら密着するという構造です.でねじ込みは手で行ったのですが,元々付いていたコードと同じぐらいねじ込もうとするとそれはそれは強大な力を必要とします.しかも,コードが純正よりもすこぶる柔らかいので,やりにくいったらありゃしない.まず一本分ねじ込んで一息いれます.ふぅ〜.

今度はその逆のイグニッションコイル側です.こちらは深い穴が開いているその奥にピンが立っているだけです.ここにコードをねじ込むのですが,純正は7mmφを使っていますので,摩擦だけを考えてもそのままでは入っていきません.それに位置決め用のゴムブッシュがあってこれを通さなければなりません(本当はこのブッシュの新品に換えたほうが良いんだけど...).ここは鉛筆削り歴30年の私が意地を発揮するところ.本来はそれなりの絶縁性を期待してコートされている部分を削るという暴挙に出ました.まずブッシュの位置をマーキングしてその5mm奥までを等しい厚みに削っていきます.ここで削り厚にばらつきが出ると先端の導体が偏心してしまうので,細心の注意を払って削ります.全周を12分割ぐらいして 青いシースを残しつつも7mm程度に直径を落とし,最後に先端部分にテーパを付けます.息も詰まるような作業ですが,仕方ありません.次にコイル側の穴にブッシュをかましてから挿入.キャップを締めていくのですが,これがまた一仕事.あまりにも硬いので(おそらくシリコンコードの先がピンにあたってそれ以上刺さりにくくなっているからか?)ウェスをかましてバイスクリップで固定してまわしました."ここまで苦労してダメだったらどうしよう..."実はこの時点でかなり太いシリコンコードを購入したことを後悔していました.

半ばやけくそになって4本目まで同じく仕上げ,ぼろぼろに疲れてその日はおやすみ〜.



さて次の日,朝から組付けです.先週に違わず寒かったウィークデーとは打って変わって暖かい朝です.まず,プラグを外し,ウェスとブラシで清掃し,ネジにグリスを塗ってから,かなりナーバスになりつつすぐに取り外して新しいプラグコードを買いにいくことを想像しつつ,コイルとプラグキャップを付けていきます.組付けも終わり,タンクを仮置きして,もしエンジンがかかってもうるさくないところにZXRを運びます.さてまったく期待せずにチョークを引き,イグニッションを入れ,セルをまわします.

キュルルルババババババ

おおっ!掛かったっ!掛かった〜!いや〜人間万事塞翁が馬!よーっし,思い切ってチョークを戻そう!500r.p.m.でも回ってる〜.素敵〜.完全に調子を取り戻したばかりかアイドリングの安定感が違う.うーむ.やってよかった〜.ほとんどあきらめていただけに感動のひとしお.ちょっと涙ぐみながら(半分マジ),自己陶酔の世界へ...

我に返り,狂喜乱舞しながら家の中に戻り,一体何の事か分からない妻や子供にうまく行ったと報告し(おまえが子供か?),再びZXRのところに戻りタンク,カウルを付けます.朝食後,さて試運転!まず,アイドリングが安定し,エギゾーストもコロコロといった感じでおとなしくなった印象です.軽く煽ると緊張感のある甲高い音.さて暖気もそこそこに,クラッチを繋ぎます.おおっ!加速感最高!今までは1stで回転を高めに合わせてやらないと失速する傾向があったのですが,まったくそんな気配もなく,明らかに調子悪くなる前のコンディションを超えています.小さなターンもアクセルOFFの状態からONにしたときのタイムラグが1/3程度になっていて,今までの感じで開けると外に膨らんでしまいます.体感だけでなく実際のトルクも相当変化したようで,今までよりも一段高いギアでコーナーが回れます.今までどれほど酷い状況だったかが分かります.こんな少ない出費でこれほどの効果があるのであれば早くやっとけばよかったと反省頻りです.特にH1のような低年式はこのようなメンテナンスが必要だと痛感しました(そればっか).それにしても本来の使い方とは違う方法でプラグコードを繋げているわけですから導体の周りに若干の隙間もあるでしょうししばらく様子を見ることにします.余分に買ったコードもまだある事だし(^^;.

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