エンジン入手

さて一応の名目では見に行くということだったのですが,心は決まっていたようなものです.750Rのエンジンは初期ロットのヘッド周りのトラブルが合ったようで,ヘッドを止めるボルトの10本のうち4本が途中から太いものに変わっています.その区別をつけるため太いほうのボルトの頭に出っ張りをつけているのですが,その対策前後であるかどうか,というのが気になる点ではありました.その方のお話では走行48000km,マイクロロン処理,メインジェット115に変更してベンチマーク83psだそうです.まあ馬力は置いといて,その方はRXのエンジンを入手されたらしく,その換装で余ったのが今回のエンジンであるとの事.少なくともパフォーマンスダウンが顕著でお払い箱になったエンジンではないとの事でしたので,安心していたわけです.

あと欠品は色々有りましたが,事前のお話でこのHPをご紹介したところ,ハンドルスイッチ左右と割れ有りメーターも頂けるとの事でした(^^;.川崎のその方のご自宅で受け渡しとなったわけですが,その日はもともと予定があったので,家族同伴で川崎へ...いよいよご対面です.

まずご自宅の前でNINJAを磨いている方にご挨拶し,その傍らに転がる750Rのエンジンを見せていただきました.その方のマシンは4月初旬にRXエンジンへの換装を終え,マフラーもピカピカのベビーフェイス.外装は黒/黄に全塗装.アップハンも取りつけられ前後ブレーキのステンメッシュも素敵なカスタム状態...RXのエンジンも車検時に公認を取るとかで何ともうらやましい限りです.元は赤黒のG1だそうです.久しぶりにG1を見ましたが,こんなにエンジン周りに隙間があったかしら?と思うぐらいです.うーむZXRとあまりにも違う...話は戻って750Rのエンジンですが(おいおい話題はそっちのけ?),まずシリアルが若い!若すぎる!中途半端に若ければちょっと例のトラブルの件が頭をよぎったのですが,こんなに若番のエンジンにめぐり合えると思わなかったので,感動して"購入しない"の選択は全く無くなってしまいました(どーゆー思考回路なのか?).

欠品はラジエター,オイルクーラー,ピックアップコイル(RXのがついている),ドライブスプロケ(RXのがついている),ってな感じで,なんとか900Rの余り物を物色すれば作りこみはできそうです.オーナーの方のシートの使い込み方でそのエンジンの扱われ方というのは想像がつきます.だって私が12年前G1買ったときにぼろぼろだったシートがその方のG1は購入当初(12年前)のまま!ということは12年以上もシートが持ったわけでこれは驚異的としかいいようがありません.いろいろ説明を受け,購入するということで二人で車のトランクに積みこみます.トランクの底板がぐにゅっとたわみますが気にしませーん.100kgぐらいあるのでしょうか.その方の話では750Rは一人で持ち上がったけどRXのエンジンは1人では上がらなかったらしいです.とりあえず最も安定するであろう(と思われた)カムチェーン側を下にしておきました.オイルクーラーのI/Oからオイルが少々出るかもということでしたが,しばらく見ていて漏れてこないので,あとは神の味噌汁です.さて出発!

加減速は極力ゆるめに,ハンドルはなるべくやさしくとまるで教習所内走行のような感じでR246を走ります.しかしブレーキをそれまでそろそろっと小刻みに踏み込んでいたところを首都高の入り口の手前でちょっと長時間にわたって同じ程度踏み込んだそのとき,トランクから

バキッ

という音がしました.と同時に車が左右にゆれました.うーむ底板が割れた音か?いや,底板が割れるとまっすぐ上下に車が揺れるはず...それにしてもバキッという音は何だ?なんか他に入れてたかな?悩みながら途中家族サービスの場へ.トランクを開けてみて私の見たエンジンのお姿は明らかにトランクを締める前に私の見た姿勢と違ってました.どうやら寝返りを打たれたようです.下にエアーキャップを敷いていたのですが,この上にじんわりとオイルが広がっています.幸いにもエアーキャップの上で留まってくれていますので,あと少しの辛抱じゃと言い聞かせ,トランクを締めます.

さて夕刻帰宅後,再びトランクを開けて見て,オイルの広がりが限界に来ている...これはこのまま車に積んでいてはいかん.ただでさえ以前灯油をこぼして臭いトランクが今度はオイル臭くなってしまう...しかし誰かの助けを呼ぶには遅い時間...妻に手伝わせても反って足手まといになるし,機嫌を損ねるかも..."ここはっ"とまた腹をくくりました.トランクからエンジンを持ち上げ,地べたに置いたスタンド(といってもプラスチックの籠ですが...)に置くという行為を1人で行う決心をしたわけです.持ち上がるか当初心配でしたが,一部を手で上げてみるとなんとか持ち上がりそうです.気合を入れて

"ふんっ!"

とあげてみます.右腕になんか筋が伸びたような軽い痛みが走りましたが(おいおい)トランクの壁をクリアしました.あとは膝の上に載せて一歩一歩進みます.BS2で夜中やっている世界強力(ごうりき)オリンピック(そんな番組名だったっけ?)の選手のような顔で(どんな顔だ?),足許にまとわりつく息子を蹴散らし進みます.大汗掻いて,そのスタンドの上に置きましたが,その籠があまりにもか弱かったのかバキバキッと沈んでいきます.仕方が無いのでもうひとふんばりして,エアーキャップを何層にも重ねた上に置くことにしました.そうこうするうちにもエンジンの上下を完全に無視してもんどりうたせていたのでオイルがドボドボと流れ出てきます.地面に落ちたオイルを綺麗にふき取って雨にぬれないようにエアーキャップを被せ,一段落したところで汗がどっと出てきました.同時に恒例の眩暈が...(この後しばらく抜け殻のようになってました)

ふうっと振り返りトランクの中を見ると,トランクの中では15年以上お付き合いした40pcsのソケットレンチセット(780円)のケースがベッコリと凹んでます.バキッという音はこれだったのです.強制的に変形を修正し,またそのケースで使うことは可能になりましたが...ははは.

兎にも角にもエンジンが入手できました.750Rのエンジンを900Rのフレームに載せるのかそれとも750Rに載せるのか.またマフラーやエアークリーナボックスについても900Rのものしかないので,いったいエンジンは機嫌よく息を吹き返してくれるのか?依然心配は付きまといます.一体これで先が見えたのでしょうか?帰って混沌としてしまったような,大きく前進したような...しかし企画は続くよどこまでも...べんべん

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