ペイント練習(Fフェンダー)

カウルが3分割にもなり,たいていの人がセンター,アンダーを外しているNINJAの場合,外装についてひと揃え同じカラーリングで揃えるのは,非常に困難です.たまに一式で売られていることがあっても,私の手が届かない値段ばかり.かといって現所有の外装そのまんまでくみ上げると個性的ではあるのですが,寄せ集めなのがまる分かり.ここは補修&リペイントが必須課題となってくるわけです.といってもそんな技術はもともと持ち合わせていないので,まず練習からはじめることにしました.マテリアルはA4フロントフェンダー(赤).キズはもとよりフォークアウターへの取りつけ穴が前の2箇所ともバリッといっちゃってるもの.これをクリアすればたいていの補修が可能になるという今回の課題には打って付けの材料.色々購入しなければならないものもあって,長期戦の構えで課題に挑みます.

まず購入したものはLoctiteのガラスマットつきプラスチックリペアキット.これが約2000円.温度により変形したりしなかったりして補修部分の形を転写する"型どりくん"なるものも市販されていますが,今回は見送りました.これの代わりに今回何故か手元に有るセンターカウルの破片を利用します.フェンダーの割れた部分を紙に転写し,その形に添って破片から少し大き目に金鋸を使って切り出します.このままでは誤差が大きく損傷部分にはまりませんので鑢で形を整えながら,形を合わせます.ある程度ぴったりあうように削れたら,今度はアロンアルファで仮留めします.これは本来リペアキットの接着剤で付けたほうが強度が強いのですが,位置をいいかげんに付けると仕上がりが悪いので,瞬間接着剤を点付けして位置を正確に止めておくために必要です.

で,次はいよいよプラスチック補修剤.まずフェンダーの裏側にちょうど合う形にガラスマットを切っていきます.この時あまり小さく切ると繊維の編み合わせが解けてバラバラになってしまうので補修部分は小さくてもちょっと大き目に切るのがコツでしょう.私は始め小さく切りすぎて作業をしていた玄関にガラス繊維を撒き散らかしてしまいました.靴の中に入ってしまうと痒くなってしまいますので,この後念入りにお掃除する羽目になってしまいました.さて,次はフェンダー裏側に2液性の接着剤を付け,その上に繊維を載せて,再び接着剤で覆います.この時あまり強くへらを押し付けると繊維の位置が変わってしまいますので注意が必要です.裏側は完成です.ついでにパテを盛るのも面倒くさいのでフェンダーの表面にも接着剤をうっすらと塗っておきました.これで,破片との間の隙間も埋まるでしょう(←楽観的).今回両方の取り付け穴がばりばりになっているので,いったん硬化を待ちます.滴れてこないぐらいにある程度硬化したら逆の穴を同様に接着剤とガラスマットで補修します.逆側は一旦作業を覚えてからやったので結構うまく行きました.ここで1日乾燥させます.

説明書では一日放置して硬化すると書いてありましたが,攪拌不足で調合比にばらつきがあったのでしょうか?一日では完全に硬化はしていなかったようです.翌日十分に乾燥しないうちにペーパーがけをしたのでちょっと表面が汚くなってしまいました(T_T)...まあどうせフォークの裏側に隠れて見えないところだしいいか.何事も練習,練習(なんか違うような?).全体をまんべんなくペーパー掛けし,われが発生していないところはプラスチックの地膚よりも塗装面のほうが剥がれにくいといううわさも有り,ちょっとペーパーをかけて荒らしただけで,塗装層を残す事にしました.けど,ちょうど400番程度のペーパーが手持ちになく,180番とかのペーパーまでしかかけなかったのでちょっと表面が汚い部分も残っています.これは実験としてそのままにしておきます(無謀なチャレンジ精神).説明前後しますが,穴の周りやエッジはペーパーや鑢で形を整えます.これをやってから全体のペーパー掛けをやったほうがいいみたいです.

さて,ここで塗料の調達です.コンプレッサも調達済みなので,当然ここはウレタン塗装と行きたいのですが,なんにせよ周りに住宅が密集しているので庭で作業するにはちょっと気が引けます.塗装用のベンチを買える金もなく置けるスペースもなく,そこはご近所付き合いも大事なもんで(^^ゞ.缶スプレーの2液ウレタンというのも有りますが,ちょっと高価だし結局はウレタンなので,毒性の高いにおいを充満させるには違い有りません.ご近所に気が引けるのをいいわけにして,まず缶スプレーのアクリル塗料で挑戦する事にしました.物はというと実は以前から車の小傷補修用に用意しているSoft99のプライマと家の車用の紺色とクリアを使います.出来ればNINJAの純正色とかだったらそのまま使えたりもするんですが,ここらへんかなり場当たり的です.いきなり何か購入してだめだったときのダメージを少なく出来るだけ遊びましょうというのが私の性分ですんで,こんな展開になってますが何卒ご了承ください.でもウレタンはクリアを吹いた後の表面もきれいだし,ガソリンでも侵食されないようです.タンクなどをやるときにはぜひウレタンでやりたいですね.あと今回うまく行かなかったらやっぱりプラスチックパーツでもウレタンに挑戦する事にします.

さて,適当に風もなく,雨も降らず,カンカン照りでもないある休日の夕方,思い立って作業開始です.まずお湯を沸かします.このお湯は缶スプレーを暖めて,噴霧を細かくするためのものです.沸騰しているお湯だと破裂してしまうのでそこは約50度にしておき,3缶とも屋外にて付けておきます.その間に先日磨いたフェンダーを取り出し,脱脂のためにエタノールを染ませたウェスで拭きました.庭での作業にあたっては子供のオモチャになっているフライパンを使ってフェンダーを浮かせます.庭の芝生にグサッと柄の部分をさしてその上にフェンダーを置きます.少々の風では落ちそうにないのでこれで行く事にします.多くの方はショベルを挿すみたいですがうちにはないので,それに比べると固定位置が少々低いです.まあ塗料の飛び散りもこの方が少なくていいかなっと(^^ゞ.

いよいよ塗装作業開始です.お湯から取り上げたプラサフの缶の水をよく切って,気中に一回捨てスプレーして早速フェンダーに塗っていきます.まあどうせプラサフだと思って結構ラフに乾燥待ちを入れながら3回塗りました.ムラは見た限りでは有りませんが,微妙な厚みの違いは有るかも知れません.滴れてはいないのでここでプラサフ塗りは終了.ちゃんと乾燥を待って,軽くペーパーを当てます.一応目立った凹凸はないようですので,いよいよ着色に入ります.色が濃紺なのですが,仕上がりに少しメタリックが掛かっているといいかなと思い,乾燥待ちを入れながら3回ほど塗ってクリアを塗ります.乾燥したらまた濃紺を薄く塗り,再びクリアを塗るといった形を数回繰り返し,何とかメタリックかな?という感じにはなりました.ここからクリア吹きです.しかしここで問題が!クリアが私の思っていたよりずっと残量が少なかったのです.それでもお湯に入れて無駄遣いにならないよう工夫してみましたが,クリアだけを塗るには3回が限度.しかも最後のほうは噴霧が荒くって滴れちゃったりしました.それが見えにくい後ろ側だったので,今度は実験魂が炸裂してしまってその逆側にわざと表面の粗いみかん肌を作ってみました.やけくそと言うか探求心が空回りしていると言うか...

さて磨きです.十分に庭で乾燥させたフェンダーを取り入れ,ウィークデーに仕事が上がってからリビングで磨きました.はじめ1200番のペーパーで水研ぎしてみたのですが,滴れてしまったところを磨いてもなんだか進捗が遅い.このままでは正常な部分までクリア層を全部さらってしまい果てには地膚が見えてしまうのではないかと思える上に,ペーパーの消耗もなぜか激しい(T_T).思うところあって,ラビングコンパウンドを持ち出して,水を絡めながら,たれの部分を重点的に磨きました.すると意外にすんなりときれいにたれの部分の凸が落ちました.それにペーパーをかけているときには感じられなかったほどのすばらしい艶!まあ砥粒が細かいと言う事はそれだけできれいに仕上がって当たり前なんですが,あまりにも簡単に艶が出てきたので感激です.調子に乗ってみかん肌のほうもやってみます.ここは広範囲にでこぼこが出ていますので,ちょっと時間が掛かりましたが,1時間番組を見終わる頃にはきれいなお肌が艶を発しておりました.その他の比較的綺麗に塗れたところもそのままだと族系バイクの仕上がりだったのですが,小一時間の研磨でつやっつやに変っていきました.うーむ,ビューティフル...本当はこの後極細コンパウンドを買って磨き上げるつもりだったのですが,予想外の満足いく仕上がりにここでストップとしました.

でも反省点は3点ばかりあります.まず塗装のときには見落としていたたれが数箇所あったのですが(結構いい加減),そこらへんをごしごしやっていると,今度はメタリック調のカラーがなんだかくすんできました.これには驚き,慌てて研ぎを止めてしまいましたが,装着状態であまり見えるところではないので,このままにしてしまいました.あと,塗装前のペーパーの番手が荒かったのか,修復したあたりの表面に細かな研磨痕が残っており,筋が残ってしまいました.それに,研いでいる最中にエッジの部分の塗装が落ちてきてしまいには下地の赤が出てきてしまいました.これはスプレー缶から塗料を少し蓋に溜めて,爪楊枝でタッチアップしましたが,あまり綺麗には行きませんでした.それでもほとんど見えないところですので気にしないですけど(^^;.教訓としては

・塗装前のペーパー当ては細かいほうがいい.(400番程度?)
・調子に乗って滴らすと磨きが多くなって塗膜が剥がれて後が大変(←調子に乗るな)

まあ後者は勉強がてらやった事ですからいいとして,それにしてもコンパウンドで磨いた後にワックスをかけ出来上がったフェンダーを見ると大変美しいです.思わず見とれてしまいます.素人である私がかなり冒険をしながらこの程度の仕上がりが得られるというのが分かっただけでも大きな収穫と言えます.色がまったく合わないかもしれませんが,しばらくこのままNINJAに付けといてもいいかななんて思います.ははは.次はカウルかな〜?その前にやっぱりウレタン塗装の環境を整えようかな〜?悩みは尽きません...ふぅ〜.

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