怒涛の引き取り(その3)

右手中指の負傷にも拘わらず雨が降り始めるやも知れない空を見上げつつ作業を続行してきた私ですが,もうここらへんでこの引取りの日のことをまとめてしまわないといけませんね.さて,エンジンをどうやって持ち上げるかですが,これは正直言って持ち上げるといった表現はふさわしくないかもしれません.今まで出先でエンジンをトランクに入れたのは全て出品者の方にお手伝いいただいてトランクに積み込んできたものです.しかし毎回それをトランクから出すのは私一人.要はトランクのそこからトランクの縁まではエンジンを一人で持ち上げた実績はあるのです.

ということはその揚程であれば,出すのも入れるのも同じこと.そうなのです.エンジンをジャッキアップしてトランクの中にある状況と同じ高さまで揚げておき,そのままトランクの縁を越えてトランクの中に転がし入れようということを考えたのです.で,エンジンを高めにジャッキアップし,トランクの縁にフェルトのシートをかぶせて保護,車をバックさせエンジンのぎりぎりのところまで寄せます.3つのジャッキを交互に上げたち下げたりして,エンジンの高さを調整しつつ揚げて行きます.オイルクーラーがトランクに入れるときに邪魔にならないようにしておき,再び車を寄せて隙間をほぼ無くしてしまいます.

ここで,いよいよエンジンを持ち上げるのですが,ヘッド側ではなくクランクケース側を持ち,ヘッドを軸にエンジンがくるっと宙返りをするような感じになるわけですが,ひとまずクランクケースをえいっと持ち上げます.すると心配していたようにオイルクーラーがトランクの縁に引っかかります.片手でエンジンを支えながら,オイルクーラーをトランクの縁の下側においやります.この時点で結構,腕も腰も一杯一杯.

で,そのままクランクケース側を跳ね上げてトランクのほうにゆっくり倒していくと,今度はトランクの上側の縁にクランクケースが当たります.仕方ないのでエンジンをここで右回りに回転させ,なんとかスペアタイヤの上に敷いたダンボールに無事着地.一応エンジンがトランクの中で暴れないように方向を決めて無事エンジン搭載完了となりました.でももう汗がだらだらになってしまって,握力も手がしびれてしまって何にもする気が起きない〜.

といってもここで休憩していては雨が降ってきますし,すでに作業開始から1時間40分が経過していて,これほど長く天下の公道を占有しての作業もないでしょうから,ここは疲れた体に鞭を入れて作業続行です.

あと大物の作業はというと,フレームとフロント周りの分離です.これは本来はハンドルを外してしまってトップブリッジを外して行うのが正解なのですが,何故だか左ハンドルを留めているネジの1本が固着により外れず,仕方なくネジが少し緩んだ状態でトップブリッジを外すことにしました. しかし左ハンドルにはクラッチマスター,そこからつながるクラッチレリーズまでのホースが付いたままですので,これを外さなければいけません.しかしクラッチマスタを外してもホースをフレームの間を通して抜き去ることが出来ないので,ここはクラッチオイルが若干こぼれるのを覚悟でマスタからクラッチホースを外します.

で,フロント足回りがフレームから外れたらあとは車にひたすら積み込むだけ.積み込みもリア周りが後ろの席でデーンと場所を占有しているので,結構後ろにフロント周りを積み込むのも結構大変だったりします.フレームは必要ないのですが,その場に放置してしまったりするとモラルの無い人になってしまいますので,これはトランクのエンジンの奥に廻して収納します.

さて,休む間もなく帰路に着きます.作業開始から約2時間20分.予想より1時間近くオーバーしているのでとても不本意な結果に少々意気消沈したものの,ひとまず雨に遭わず帰路につけたのは結果的には良かったかな?しか〜し東名に乗ったのもつかのま,大渋滞.そういえば今日は3連休の中日.天気は悪いものの行楽シーズン真っ只中でもあり,箱崎まで赤い線が約7割を占めるといった状況で,もう高速を降りたくなってしまいます.しかしここで降りるといつ帰宅できるかわからなくなってしまいますので,我慢して渋滞の中時間をつぶします.そういえば昼ごはんも食べてないのでおなかが空いてきました.車の中で朝ごはんの残りとして持ってきていたパンを食べて空腹を凌ぎます.長時間車の中に口の開いた袋に入れたままおいておいたので,このパンもパサパサでなんとも味気ない.

そうこうしながら渋滞に嵌ること約1時間で,都合1.5時間でようやっと帰着.もう既に3時半になっており,雨雲も迫りつつある感じで,帰着後もまったく休憩なしでトランクからエンジンを下ろすところから作業開始.まあ,ここまで時間が遅くなるということは持ち帰ってきた部品の数も相当あるだろうなと察しが付くのか,妻も顔を出しません.まあ顔を出さないのをいいことに庭や玄関先にニンジャの部品をどんどんと積み上げていき,4時過ぎに作業終了.

もうこうなるとこの時点で眩暈を通り越して,長時間地面が波打っているような感じがする状態で,作業終了とともにうちの中に入りしばらく呆然としておりました.それでもおなかが空いてたまらなかったので,そこらへんにあったお菓子を少々口に入れ,ソファに横になりました.で,気が付いたら晩御飯のお時間.そういえば指もこの時点でもジンジンと痛んでおります.外傷はたいしたことがないのですが腫れがひどく,どうも骨折かひびが入っている感じです.医者に行ってもいいんですが,このような場合特にギブスも嵌めてくれないと思いますのでひえぴたを貼ってひとまずの治療.明日もっと痛むようだったら医者行こう...ということで怒涛の引渡しでしたが,なんとも充実感の無い割りに疲労感の深い一日だったのでありました.

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