エンジン分解,解析(その1)

さて,エンジンを車体から外し玄関の脇に置くようになっていくつもの時が流れてしまいました.まあ他の車体をえっちらおっちらやっているペースが一向に上がらないのがその原因ではありますが,一方で他の車体が仕上がって,場所が開いたとしてもエンジンブローの状態では車体に載せることもできません.ということで重い腰を上げてせめてエンジンの中身確認ぐらいはしておこうということになりました.(←なんかひとごとっぽい)

で,もうエンジンを移動させるのもめんどうなので早速玄関脇に置いたまんまヘッドカバーからばらしていきます.で,開けてみたところ10万km走行車では絶対に見ることのできない見事にかじりのないカムがそこに.あれ?もっと程度は酷いはずなのにおかしいな?あとヘッド内に残っているエンジンオイルも粘度が高くなったりしていないので,実は結構最近エンジンブローが判明したのではないかと推察できます.タペット周りにも破損は見られず,金属の摩耗屑も出ておらずひとまずヘッドの上周りは大丈夫そう.まあここらへんがダメだったら部品交換でなんとかするか,最悪ASSY交換するつもりだったので,判断はヘッドの下周りを見て決めることにします.

ヘッドを外しますが,上周りのネジはとにかく硬く締まっています.ねじ自体が長いので,締まっている状態ではネジのある部分に対し,ネジの頭がねじれてついている感じで,そのねじれの分はネジの頭と締めつけ部の摩擦係数で把持されているわけで,これがどの程度の力で回り始めてくれるかとても微妙です.こんな感じで各ネジがパキンッと外れてきますが,玄関先の算木の上でやっているのですごく作業しづらかったりします.ここらへんは本来車体に載せたままやるのがセオリーなんでしょうが,場所を明ける都合上このような作業性の悪さも許容しなければいけないわけですね.なおヘッドの下に1か所下側から留めているねじがあって,これを外さないとヘッドが外れません.普通車体についているときはすぐに気が付くんでしょうけど,ここでも玄関先の狭いスペースでやっているのが災いして,つい見落とすところでした.

さて,ヘッドが外れたら早速燃焼室側から見てみましょう.で,見栄えはとってもきれい.バルブに隙間もないですし,ピストンと当たったような跡も見当たりません.ブローしているとしたらここらへんかな?と思っていたのですが外れでした.ちなみにこの後去年の冬余った灯油があったので,バルブの根本側から垂らしてみたんですがやっぱり漏れはありませんでした.ちょっとヘッド周りで何かやっておかないといけないかもと思っていたのですが,ちょっと拍子抜けです.

で,逆側のシリンダー側を見ているとどうやら”エンジンブロー”と判断された原因であるような部分に対面することができました.ちょうどヘッドが外れたところで1番のピストンがほぼ下死点から少し上がったところにいたのですが,その上に見えているシリンダースリーブの内面がとてもひどいことになっています.かなり広範囲に腐食して,何か所か横方向にリング状のキズのようなものが見えます.恐らく想像するにサイドスタンドを立てて保管させた状態でプラグホールから水が入り,その状態で腐食が進行,そのままエンジンをかけてシリンダー内面を傷つけるか,少しピストンの位置が変わったところで再び水が入って腐食したりしたのでしょう.

試しにクランクを回してみましたが,途中このリング状になったところをピストンリングが通過するところで結構な抵抗が手に伝わってきます.開けたばかりの状態ではシリンダーの中でピストンがえらく傾いていたので,恐らくこの抵抗のせいでセルを回しても異音がするだけで,回転が上がらないので火も入らなかったのではないかと推測できます. ニンジャは長く乗りたければとにかくサイドスタンドで立ててはだめと言われます.それは一つはヘッドのオイルがどちらかに偏った状態でエンジンを始動するというのを繰り返し,カムかじりなどの進行を早めてしまう点.もう一つがこのプラグホールの水侵入です.今までニンジャのみならずヘッド構造がほぼ同じGPZ1000RXも数多く見てきましたが,古いエンジンの約半分はこの浸水の影響が少なからずありました.その中でもこの車体は重症といえます.ひとまずここで何が原因か,少なくとも1つは見つかったので,ひとまずこの対策を次までに考えておきましょう.ということで続くのであります.

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