エンジン補修,組立(その2)

1番シリンダースリーブの腐食が判明し,まあここが病巣の一番重いところではないかということで,それを確実なものにするためにシリンダーブロックを外します.

シリンダーブロックについても下側から1本固定ネジがあるので,これを外さないことには分解できないのですが,これがヘッドの様に露出しているわけではなく,パルスカバーの内部に仕込んであったりするので,要注意です.ここのネジを外したらプラハンで下側から軽くたたきながら外していきます.このとき確かに1番シリンダーのみピストンの動きが重かったので,この腐食の影響というのはかなり重症ナノだなと思いましたが,ピストンがほぼ水平になるようにしながら引き抜くと,ほぼ問題なくなったので,腐食した面に突っかかり,コケテしまうことで重くなっていた模様です.

これだけ抵抗があったならば,ピストンの側面がシリンダースリーブに触れていたりしないかしら?と思いつつピストンの側面を見てみると,軽くスリーブと擦れたような跡がありました.まあここは通常のエンジンでもタテ傷の入ったピストンが見られることもありますので,然程ダメージとは思えないですが,この傷が片面にしかついていないのを見る限り,確かにコケながら動いて,擦れて仕舞ったんだろうなと思います.ただあまり長時間当たり続けた感じではなく,セルを回した時にアンバランスで擦れたような程度なのだとおもいます.ちなみに他のピストンにこのようなタテ筋は入っておらず,やはり水の浸入による1番シリンダーの腐食が腰上における重大な故障個所ということになりましょう.

で,ピストンまで外したら,次に腰下はどうなのか?ということで,腰下まで分解するかかなり迷ったのですが,もしダメになっているとしたらクランクメタルぐらいなので,ここはクランクを回してみて,変な引っ掛かりやガタがないかを確認します.まあピストンがない状態なのでゆっくりにはなりますが,レンチをナットにかけてコンロッドの引っ掛かりなどに注意しながらゆっくり回したところ,全周において引っ掛かりは無く,スムーズに回ります.クランク自体のスラスト方向,ラジアル方向のガタや,コンロッドの極端なガタや遊びもないようですし,今回は腰下は異常なしということで分解はここまでにすることにします.

さて,修理の方針を決めなければいけません.まずはシリンダースリーブですが,これは本来ならば打ちかえが相当でしょう.しかしこの腐食層がどの程度の深さを持っているかでその対策を決めようと思います.実はシリンダーブロックASSYを持ってはいるのですが,実はこれがワイセコの972用でして,そのまま使えるものではなかったのです.記憶の中では900のシリンダーブロックを在庫しているものと思い込んでいたのですが,それがとんだ計算違いでした.新たにシリンダースリーブを新品購入したり,ヤフオクでシリンダーブロックごと購入したりすると結構なお金がかかるのでここは慎重に,いつもどおりの使える部品は使うポリシーで行こうと思います.ここらへんは実際補修作業を始めてみないとわからないところですので追って方針を決めることにします.

次はピストンですが,外観でわかる部分は先ほどのタテ傷ぐらいでした.ピストンピンの抜け具合,ガタも他のピストンと変わりなく,燃焼室側のカーボン堆積など然程ひどくなかったので,ピストン自体はこのまま清掃だけして,ピストンリングだけ新品に入れ替えることにします.なお,ピストンピンについてはガタやオイル不足による摩耗などもなく,奇跡的に再利用可能と判断しました.

ヘッド周りですが,1番のバルブ表面に腐食の影響がありますが,これは研磨すれば落とせそうです.燃焼室壁にも異常なカーボンの堆積が無く,これも軽く清掃すればなんとかなりそう.何よりバルブの動きに変なガタがなく,オイル下がりの症状も一切見られなかったので,ここは組込み後タペット調整のみやって,それでもおかしい点が見つかったらバルブを外して組みなおすなりしてみようと思います.

ひとまず基本的な方針は決まりました.あとは補修,組立をやるのみ.ここからはまた次回.

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