シリンダースリーブ補修

1番シリンダースリーブの腐食が補修できるものなのか,補修できない場合どのように部品を調達するのがよいかと考えるため,まずシリンダースリーブの腐食の程度を整面,測定しながらを推し測っていこうと思います.まず,スリーブ内面の腐食層を除去します.その状態で今度は周辺に対して腐食している部分がどの程度凹んでいるかを測定します.この測定はなかなか難しく,本当はボアマイクロメーターとかがあればよいのですが,そんなものはうちに転がっているはずがありません.バイスにシリンダーブロックを挟んで固定し,定盤上にシリンダーが平行になるようにしてスタンドに取り付けたダイヤルゲージを滑らせて凹んでいると思われるところで何umぐらい針が振れるかというあなりアバウトな測定をやってみたところ,まあまあその凹みの相対的な程度は計れるようであったので,それを計りやすい吸気側,排気側の両方でやってみました.結果としては10umの目盛しかないダイヤルゲージで針は微妙には動きますが,ぴょこんと動くような時でさえも10umも動かなかったので,なんとか数um表層を削るだけで凹凸はなくせそうなことがわかりました.

なお,スリーブの内面のホーニング溝は完全に消えていて,他のシリンダーはピカピカの内面になっています.これでは一番上のピストンリングまでオイルが行きわたらずシリンダースリーブとピストンリングを無駄に摩耗させてしまいます.今回1番については補修可能と判断し,2〜4番は自分でホーニングしてみることで,1番のピストン突っかかりとオイル供給の改善をあわよくばやってみることにしました.

1番シリンダーについては出っ張っていた腐食層を取るのと,凹凸の部分を平滑にするのとは作業的にはさほど変わらず,600番ペーパーでシコシコ磨くだけです.それにしてもこの作業,土曜日の朝っぱらからリビングの食卓の上に新聞紙1枚しいてその上でやっているので,かみさんの機嫌がすこぶる悪いです.おもては寒いので許してという感じで,哀願の目で見やりながらここらへんギリギリの攻防をしながら作業するのがとても大変.全周にわたってほぼ均等にとらないといけないということで,腐食層のあるところをやったのと同じぐらいの時間をかけて他のぶぶんもやらなければいけないので,ほぼ1時間,腕がちぎれるかと思うほど往復運動してなんとか内面はほぼきれいな状態になりました.先ほどの方法で測定してもダイヤルゲージの針はやんわりとも動きませんのでひとまず腐食層の影響はなくなったかと思います.一応シリンダ内に置くことができるサイズのスコヤブロックなんかを駆使して腐食した位置とそうでない位置の内径の差がどの程度あるか測定してみましたが,こんなやり方では計測不能なレベル.ここにピストンが摺動して,動きにアンバランスが出るようなことがないレベルと判断しました.最後に別途清掃したピストンを新しいピストンリングを入れてオイルを垂らして摺動させてみましたが結構滑らかに動きます.特に他のシリンダーでもやってみたところ抵抗感は変わらず,これで行けるかも?と感触を薄々ながらつかんだりして.

あとは自作ホーニングですが,ここは電動ドリルにホーニング治具を取り付けてやるかたもいるようですが,シリンダーホーニングの肝としては,溝は斜めに入っているのが重要ということで,あえて手で80番のペーパーを当ててできるだけ溝が斜めに入るようにこすっていきます.純正の新品状態でのスリーブには20-30umの深さのホーニング溝が切ってあるようでしたので,単に手で80番を当ててもそれに遠く及ばないとは思いますが….また,一応念の為80番とかでささくれてしまった表面の凸になっているところが残らないように最後に600番で表面をさらうまでの作業にしてみました.とはいえ結局4シリンダとも全周にわたりそれなりのキズを入れていくのにはかなりな時間を要しまして,1番シリンダーでかかったのと同じぐらいの時間をかけて丹念にやらなければいけなかったので午前中いっぱいかかってしまいました.その結果かみさんの顔は徐々に鬼の形相になってしまいましたとさ.

とまあ写真に撮ってもちょっとピンぼけになってしまったのですが,それでも斜めに入れたつもりのキズが,縦に入っているように見えています.やっぱり手仕上げの限界がここらへんにある感じですね.まあダメだったら1番の突っかかりが再び出てしまうというのが一番の懸念ですので,自前ホーニングはあくまでも気休めって感じですね.

ということで次回は組み付けです.

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