腰上組み上げ

部品単位ではできる限りの補修ができたということで,ピストンリングを一緒にガスケット類も既に入荷しているので,腰上を組んでいきます.実はニンジャのエンジンということでは腰下のみばらしたことはありますが,腰上は初めてだったりしますので,ちょっとドキドキ.

まずピストンです.ピストンは前回のスリーブの研磨の時に写真に1番の分だけ写りましたがあんな感じです.バルブリセスのあたりは少し隅に取りにくいカーボンが薄く残ってしまいまいたが,他はほぼカーボンは除去できています.まあなぜかカーボンがほとんど残っていなかった点から考えて,何度か清掃されたか交換されたピストンなんでしょう.コンロッドとの間のガタは少なく,ピストンピンの焼き付きなんかも見られませんでしたし,ピンもピストンの変形により押し込みにくさを感じるものもありませんでした.本当だったらいろいろ削ったりして重量合わせをしたりするのがお約束なんですが,そこまではものぐさなんでやりません.

古いガスケットを取り,面の掃除をしたら新しいガスケットを敷き直し,シリンダーブロック側のあたり面も掃除したら,シリンダーブロックをかぶせます.ピストンリングコンプレッサが必要かと思ったのですが,ニンジャの純正ボアであれば,スリーブの下側にちゃんと誘いが入っているので,センターさえちゃんと出してやれば上手く入ってくれました.ここらへん972仕様や1000RX以降になるとピストンリングコンプレッサが必要になってくるんでしょうね.

ヘッドについても燃焼室の表面の掃除を行いました.手が油まみれなので写真は残っていませんが,カーボンのほとんどは除去でき,バルブをタペットを押して少し浮かせたりしてシート面のあたりを確認して再び同じように灯油を流して漏れがないか確認しました.やっぱりこのエンジンヘッド周り一度いじられているようで,年式の割にかなり気密は高いように思います.

カムまで装着したところで,せめてこれぐらいはということでタペット調整します.今回これにあたって,以前から使っていたシックネスゲージでは短くて作業性が悪いのでamazonでそれなりに評価されている長いタイプのものを購入しました.軒並みクリアランスが狭くなっていましたがニンジャの場合はシムタイプでないので結構楽に規程の0.18-0.23に納めることができました.なお,この作業の際,クランクを回しやすいようにプラグを抜いたまま作業したのですが,手で回す抵抗にムラなどなくスムースに回りました.また逆にプラグをはめて回したところ,ちゃんと2回転で4回,シリンダーにほぼ均等に圧力がかかるのを確認できましたので,ひとまずエンジンの回転自体には低速では問題が出ない程度にはなっているものと判断しました.本当はセルをバッテリにつないで圧縮でも確認すればよいのですが,これは後々のお楽しみにしておきます.

あとはヘッドカバーのあたり面を掃除,ガスケットを新品にしてカムエンドのあたりには液体ガスケットを塗って,ヘッドカバーを取り付けます.これでひとまず今回のエンジン周りの作業は終了です.ただ1点だけ気になる点がありまして,エンジン下部のオイルラインがこのエンジン取り外されていました.オイルラインは車体とは別になっており,他のパーツと一緒に例の白いサイドバッグ内に入っていたのですが,なぜこれを外したか?が謎でした.で,良く見てみるとバランサーの角度を決めているステーがこのオイルラインの奥にあるのですが,これをどうもいじったようです.バランサーをいじるということは,エンジンに異常な振動があったというわけで,1番シリンダーの腐食によりピストンが突っかかり異音と異常な振動が発生していたところに,もしやバランサーの調整ができていないのでは?と思って調整してみたのではないかと推理してみました.この推理が正しいかどうか,車体に載せてサービスマニュアルのとおりバランサーの調整をしてエンジンが快調に回るかどうか判明したところでわかることになります.こういった推理が正しいかどうか,バイク屋さんだったらとにかくせっかくエンジンを開けるのだからとフルオーバーホールするところなんでしょうけど,使えるものは使うの信念を貫いて,先々このような推理の検証ができるのも素人作業ならではなのでした.

といいつつもお楽しみの車体取付は一体いつになりますことやら.

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