異音対策(その2)

前回はエキパイの締結に疑いの目を向け,あえなく敗退してしまいましたが,いきなりヘッドを下すなんてことは私にはできません.ここはまずヘッドカバーを開けてその中に見えるところから異音の原因を探そうという魂胆で今回はいきたいと思います.というのも前回火入れしてあんまり長時間の運転はエンジンによろしくないと思いながら音を聞いていたところ,どうもその音はヘッドのあたりから聞こえ,その周波数はエンジン回転に比べて半分といったところ.すなわちカムの回転と同期していると感じたのです.恐らくバルブがピストンにあたっていたりするならば,その異音はエンジン回転数を同期するはずです.しかしカムの回転を同期しているとなると,ヘッドの上側の作業だけで行ける可能性もあるということになりましょう.

したがってそのような安易な考えでありつつも開けて見ないとわからないということで作業開始です.以前はヘッドカバーを開けるのにサーモスタットを外したりしていましたが,実はここイグニッションコイルやプラグコードを外し,フロントカウルをステーごと前にずらせばヘッドカバーを外すことが出来ます.水周りは前回一旦抜いていますので,できるだけ今回は抜きたくはないということですし,このほうが楽なんです.

で,ヘッドカバーが程なく外れて,中からカムシャフトがお目見え.パルシングカバーを外してクランクを回してみるといきなり1番のEX側のカムがこんなことになっています.ニンジャのカムはかじりやすいといわれていますが,もうこれはカジリの領域をはるかに通り越して,削れの域です.ちなみにカムの下に入っているので,わかりにくいのですが,ロッカーアームも相当削れてしまっているようで,タペットシムの隙間が0.8mmにも広がっています.削れもどうやらまんべんなく削れているのではなく,明らかに2段階に削れており,カムがロッカーアームを急激な角度でたたいてロッカーアームが暴れて2回カムシャフトにあたっているような,そんな削れ方です.

そりゃあんな音が出るはずだわ.ちなみに他のカム山をみて見るとカジリはそれなりにありますが,1番のEXだけが異常な摩耗具合であるといえる状態でした.ニンジャのエンジンの場合サイドスタンドをかけて暖気するような場合,4番のIN側のカムがかじりやすいといわれています.理由は簡単で一番高いところになるからオイルの供給が間に合いにくいということになります.しかし今回のケースでは一番位置的には低い1番のEXですので,その原因は謎です.ヘッドの中を見た感じ,そうオイル不足が発生したようには見えませんので,原因が何かしらあるんでしょう.

あと,特筆すべきはカム山の脇の鋳物地肌に縦筋がいっぱいついていて,これが明らかにタペット調整ネジのネジの頭と,それに加えナットがカムシャフトに触れてしまった履歴と思われる痕跡がありました.これはおそらくタペット調整したときにナットの締め込みが甘く,緩んできたせいでナットが脱落し,そのためタペットネジが後退して,ロッカーアームのタペットを押すタイミングが異常になり,このようなカム山とロッカーアームの異常摩耗を引き起こした可能性が高いのではと考察できます.このように推理すると,このエンジン自体が外れであるということはなく,タペット調整の作業ミスによりカム山などが異常摩耗してあのような音を発生させるに至り,ひとまずヘッドカバーを開けてみて状況を確認してそのまんま音を確認して,コリャ部品交換しないとだめだわということで長期放置モードに突入した車体であると推測してよいのでは?などと都合よく考えてしまいます.

とまあ,推測と言いながら妄想に近いようなことばっかりしていてもしょうがないので,この日はここまででヘッドカバーを戻し,タンクを載せたりしてほぼ原状復帰して作業終了.さて,どうしたものか?と対策を考えます.まずはカムシャフトですがもうずいぶん前にカジリなしの綺麗な中古カムシャフトを結構高額で落札したものがストックにあるはずです.で,家探ししたところほぼ想像していた場所に錆なども発生せずにちゃんと保管できていたのを発見.で,あとは間違いなく相当削れてしまっているロッカーアームです.これは残念ながら在庫はありません.なので調達します.で,1個だけ売っているようなのはありませんでしたので8つセットでそれなりにあたり面がきれいなのを写真で確認できるものをそれなりの高値で購入しました.

さて、ひとまずの対策に向けて部材は用意できました.次は作業編ということで次回ということにしましょう.

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