PCのいじり方

95年,しばらくゲームマシンとしてしか利用されなかったPCに転機が訪れました.Windows95の登場です.Windows95の特徴というと,当時"たくさんのメモリを食う"という事が多くのPC雑誌で取り沙汰されていました.32MB無いと苦しいと...年の瀬も押し詰まった頃,秋葉原では大騒ぎでWindows95の柿落としが行われました.その一方で,実質8MBしか搭載できないマザーボードを持つPCの運命は揺れ動いていたのです.当時まだ30pinのSIMMは売っていましたが,4MB一本が2万円近くしました.また将来性の無い30PINに投資するのもなんだかもったいないような気がしていました.30PINと72PINのSIMMが両方使えるマザーボードというのもありましたが,希少価値のせいか,非常に高かったのです.秋頃,ロビン電子の前においてあるガラクタの中にそのマザーボードを見つけました.3000円とタグが貼ってあります.一応袋の中に入ってましたので,"使えるかもしれない"と思い,レジに持っていきました.一応"使えますかね?"と聞いてみると,横にいた店員さんが思い出したように"それ今朝動かないってお客さんが返しにきたやつだよ."と...その当時BIOSのリカバーなんてやってるお店も無かったし,なんせメーカーや型番さえもわかりません.結局そのマザーボードの購入はあきらめました.

Windows95の登場とともに大容量RAMが必要とされる時代が来たわけで,うちのPCも早速それに乗っからないといけません.そこで考えました."今後RAMでこんなに悩むのはたくさんだ!"ということで当時もっとも大容量でコストパフォーマンスの良い32MBのRAMを買うことにしました.しかし当時32MBのRAMはWin95の登場に乗じた価格沸騰によって秋葉原でも約9万円します.RAMだけでも2本買うとPC本体の取得金額を超えてしまうのです.ここでまた考えました.Pentiumは32MB一本差しでは使えない.ならば1本でもつかえる486のままでも良いじゃないか.とりあえず,CPUはそのままでマザーのみ交換してRAMを増やそう...また当時Cyrix5x86やAMDのDX4-120などが紙面をにぎわせていました.486マザーにはその当時未来が拓けていたのです.

早速RAMの調達です.やはり9万を少しでも安く調達することを考えました.NiftyのBBSで目を皿のようにしてリサーチしました.すると70nsですがパリ無しの32MBが68000円で手に入りました.これは料金代引きで送ってもらったのですが,それをウィークデーに設定したのが間違いでした.妻には68000円のものが今日届くから金を払っといてくれと頼んで会社に出かけたのですが,妻は相当大きな物が届くと想像したそうです.68000円払って,ポッキーの箱のような小さな荷物を受け取ることに彼女は違和感を感じたのでしょう.結局その夜は夫婦間に大きな溝を作ってしまいました.

そしてマザーボードです.当時HOT433や,GIGABYTEのGA486AMなどもありましたが,とりあえずCL-GD5426のVLカードを使いたかったので,候補は自然に絞られてしまいました.選択したのはAsusのPVI486SP3です.これはPCIとVLとISAすべてのBUSを積んでおり,またSIMMソケットは2本しかないという私にはうってつけのボードだったのです.もちろん私が購入した時点でCyrixの5x86にも対応していました.

当時16800円だったと思います.秋葉でこれを購入して早速組み立てです.私のATのケースは購入時点でマザーボードを直接取り付けるバックパネルとシャーシをとめるネジがかなり前からバカになっていました.よってケースを開けてカード類を抜いてケースを持ち上げるとマザーボードが板金ごとバサッと落ちてくる状態でした.これはこのマザーボードを買えるときついでに一回り大きなネジをケース側の板金に切りなおし,修復しました.

次にマザーボードの交換です.バックパネルから古いマザーボードをはずし,DX2を抜きます.しかしこの古いマザーボードのCPUソケットはsocket1というもので,ZIF(Zero Insertion Force)ソケットではありませんでした.CPUはそのソケットに厚入される構造になっており,これを抜くのに苦労しました.結局手持ちの工具で抜くのは諦めて会社からCPUのリムーバを2ヶ借りてきてそれで抜きました.

次に新しいマザーボードをバックプレートに付け,CPUとSIMMを差します.PVI486SP3は対応CPUのあまりの多さに約15ものディップSWでCPUを選択します.これはマザーボードの向かって右上にあるため,ミニタワーの私のPCでは非常にやりにくいのでこれをDX2にあわせてから,ケーブル類を繋ぎ,バックプレートごとケースに収めます.さて,ここで初めての経験です.当時チップセットが変わるだけでWin3.1上でエラーが出るなんて事は知らないので大騒ぎです.HDDはDOS互換モードでしか動かないし,VGAの再インストールは必要だし,それらを対応する間心臓はバクバク音を立てていやな汗もたくさんかきました.そうこうするうちWin3.1が普通に動くようになりました.

はじめに驚いたのがWin3.1でも32MBにした時点で相当高速になることでした.特にWORDやEXCELの起動時間は8秒程度だったのが1.5秒.これだけでもSIMMの68000円は十分に報われたと感じました.この時点で実は市場にWin95は出回っていたのですが,しばらくWin95を導入せず様子を見ることにして,一旦次購入するもののリサーチに入ったのです.

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