最速486マシンへの挑戦

96年に入り,Win95の評判は安定してきました.その多くが"Win3.1と変わらず落ちるOSである"ということでした.しかしNiftyのフォーラムでGETしたゲームが徐々にWin95にシフトしていったこともあり,ついにWin95のインストールを決心しました.しかしOSはもとよりハードウェア的な問題を抱えています.まず第一点がHDDの容量.当時250MBのHDDではWin95を普通にインストールしただけでも130MB程度の領域を占有してしまいます.これではアプリケーションの入り込む余地はありません.将来を考えて2GBと行きたいところですが,2GBは当時4万円近くしました.1.2MBなら24000円程度でしたので,当時Seagateに買収されたばかりのConnerの1.2GBを22800円で購入しました.もちろんHDDだけは新品です.

またVGAの遅さにも十分あきれていましたので,これも交換です.やはりここはPCIの64bitチップのものにしたいと思いました.ただし当時VGAの値段は高く,MGAのMilleniumなぞ50000円で売られていた時代です.ここは値段を決めて得意のNiftyBBS.15000円以下という値段設定で探してみると,まったく条件に合うものがありませんでした.一度CanopusのPowerWindow868PCIが15400円というのを見つけたのですが,タッチの差で売れてしまっていました.失意の中それでも執念深く探し続けること約2週間.ありましたATI GraphicXpression (mach64PCI)10000円早速連絡を取って購入しました.当時ATIのmach64はFMVなどにも採用されはじめていましたし,ATIのチップの乗ったボードをATIが作っているので,外れることはなかろうと思いましたが,各種ベンチ比較を見ると,CADの描画などが遅く,TOTALパフォーマンスは低いようでした.しかし10000円という値段に負けました.

Win95はCD-ROM版が手に入りましたので,やはりCD-ROMドライブを入手する必要があります.これも4倍速は当時15000円程度が相場のところ10500円で手に入れました.このドライブはGateway2000が当時採用していて,鳥取三洋製でしたが,ドライブ表面にTORISANと書いてあるのがお茶目でお気に入りでした.他にはHDDの購入のときにSOUNDカードを衝動買いしてしまいました.SoundBlaster16が9800円でした.

あわせて70000円以内という出費は当初の予定通りだったので一応の満足は得られたのですが,Win95が動かないことには話になりません.早速HDDとVGAを差し替え,SOUNDカードを差して,Win95のインストールです.古い250MBはPrimaryのSlaveに,CD-ROMはSecondaryのMasterに接続します.ドでかいVLバスのカードを抜き,mach64のPCIカードを差します.この時初めてPCIバスの挿入を経験したのですが,ISAやVLに比べ圧倒的に軽く入っていくので,抜けないかどうか心配でした.SOUNDカードに繋ぐスピーカーはミニコンポに付いてきた小さなミッドレンジスピーカーが余っていたので,それを繋ぎました.

さてOSのインストールです.まずWin95の起動ディスクはあるものの,CD-ROMは認識してくれないので,まずCD-ROMのドライバをインストールします.このドライバはなぜかHDDにしかインストールできず,フロッピーでは使えません.後で起動ディスクを作ろうと思って苦労したのですが,結局出来ませんでした.一方Win95のインストールそのものは快調そのものでした.PnPは最初から当てにできないというのは雑誌などで元々言われていましたし,再起動のとき立ち上がらないこともあると聞いていましたので,何が起こっても動じないで対応できました.

さていよいよDX2ながらWindows95を使ってみます.CL-GD5426からmach64に変わったことでのものか,OSそのものの差によるものかわかりませんが,体感でも当時の最安値で売られていた75MhzPentium+CL-GD5434のマシンと遜色がないと感じられました.この時点では大満足でした.

しかし時が経つにつれ,会社で使用しているPCもだんだん高速化していきます.Pentium133MHzが当たり前となってきたのです.2月の時点でPentium133MHzは8万円程度で売られていましたし,マザーボードはSocket7がもてはやされていた時期でそれらは30000円近くします.当初より対応CPUの広さを買って,PVI486SP3を選んだわけですから,それを実行しない手はありません.道はWin95のとりあえず動くPCから最高速486マシンの構築に変わった訳です.

当時AMDの5x86P75が既に市場に出ていました.しかしCyrixは5x86の120MHzを発売していました.この石は当時ベースクロックの上限を33MHzとしていた常識を覆し,40MHzで駆動させるものでした.AMDのほうは133MHzを33MHzx4で実現していたので,ベースクロックのupという点ではCyrixはAMDよりもPCIバスなどのドライブにも高速化の効果があると思われました.AMDの5x86でベースを40MHzに上げて160MHzでドライブする人も多くいるようでしたが,クロックアップはリスクを伴うものという当時の認識からあまり好ましくありませんでした.両者ともに価格は19000円程度でしたが,わたしはCyrixを選びました.17800円でした.

ほくほくしながら帰り,マザーボード上のジャンパを入れ替え,CPUを交換します.BIOSの設定は始めは標準設定で動かしましたが,これが驚くほど早い.雑誌の扱いはPentium90MHz相当とのことでしたが,120MHz程度に感じます.特にwordやexcelの動作はスムーズそのもので,会社で常用していたPentium133MHzのFMVよりも早く感じます.ベンチマークはやはり"90MHz程度"でしたが,体感が大事なのです.正直これほどとは思いませんでした.ただし一点だけ不都合がありました.フロッピーが使えないのです.フロッピーにアクセス中にハングアップする事が頻発しました.BIOSをいじって何とかならないか苦労しましたがL1CACHEをWritebackからWritethroughにかえるとフロッピーが動作するようになりました.しかしWritebackが効かない状態では,体感133MHz相当が90MHz相当に落ち込んでしまいます.仕方ないので,フロッピーを使うときのみBIOSでWritethroughに切り替えるようにして使うことにしました.

これは後日BIOSのアップグレードやフロッピーを入れ替えたりまでして検証してみましたが,結局原因は分かりませんでした.しかしこのような状態に変な快感を覚えるようになって,自分的には最高速486マシンの実現を一時なりとも成し遂げた満足感に浸っていました.

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