キャブ関連のレストア

この車体の元車両は書類付きという触れ込みの上にほとんどパーツが揃っているというのを魅力に感じて落札したわけですが,書類はありませんでしたし,他にもいろいろ調達しなければいけないものが出てきたり,分解したときに使えないと判明したものとか予定外に手間がかかりそうな小物がいくつかありました.

その分解している最中にすでに分かってしまったそのままではつかえない物というのがキャブレターのマニホールドです.というのもこの車体,しっかりキャブは付いていたので,取り外すときにちゃんとマニホールドのねじを緩めてキャブをこじるように取り外したものの,意外に簡単に取れてしまったのです.で,よく見るとマニホールドの金属部分はエンジン側,ゴム部分はキャブレター側という具合に分裂してしまっていたわけなのです.

で,その直後はまあこの時代の車体にはよく起こることと意外と簡単にあきらめていたのですが,その後このマニホールドが純正パーツとしてはもう入手できないというのと,マニホールド単体で売りに出ているケースはほとんどなく,エンジンと一緒に出品されているぐらいで,極めて入手が困難であることがわかって初めて私は顔面蒼白になったのでした.でも少しでも待てば出品があるはずと高をくくって待っては見たものの,車体を引き取ったその日から半年近くが過ぎても一切単品出品はありません.100歩譲ってキャブレターと一緒とかも含めてみていたのですが,それもなし.エンジンと一緒に出品されていたものはエンジンの相場よりずいぶんと高額で落札されていったので,どなたか大枚をはたいてでもこのマニホールドを入手したい人に落札されたものであろうということで,さらに落ち込む私.

でも落ち込んでばかりではしようがありません.車体が組みあがってきている現在,何とかするしかないのです.ということで,探したのは他車流用ですが,このSRX250Fのキャブというのは低速側と高速側を分担しているツインキャブでして,単気筒車の中ではかなりゴージャスなつくりです.キャブの径は左右で同じなように見えますが,この径に合うツインキャブのマニホールドを見つけて,エンジン側のねじ穴は適当に開けなおしてなんとかしようかとも思いました.しかし,結局いろいろ買い集めて使えないものが在庫に増えていくのは今部品にうずもれて生活しているような私には好ましくない判断と言えます.

なので,このマニホールドを自分で修理することにしました.まず入手したのは耐熱の万能接着剤.セメダインスーパーXの黒です.この接着剤は以前も何度か登場したと思いますが,意外にも耐熱が高いのです.なので今回のような場合,この接着剤でアルミの部分とゴムの部分をしっかりと接着できるのではと考えたわけです.そうと決まればさっそく作業です.写真は撮っとけばよかったのですが,一切そんな配慮ができないほど追い込まれていたので文章のみとなります.

まずはアルミ部分の微小な腐食を落とし,アルミ,ゴム両方をとにかく清掃,脱脂します.双方の界面にあたる面に少し多めのスーパーXを塗り,少しオープンタイムを確保するため放置します.このときにできるだけ垂れてこないように何度か天地を入れ替えたりしてなんとか接着面に均等に乗っかってくれるよう工夫します.次にその二つをくっつけてゴム部分の外周部にタイラップを巻きしっかり固定します.はみ出したスーパーXは,混合気の通路で邪魔になるので特に内側のはある程度ふき取っておきます.でもこの内側のはみ出し分も接着強度に影響しますので,少量は残し,内面に0.1-0.2mmの厚みになるように伸ばしておきます.外側についてもあまり外観が悪くならない程度にはみ出し分を広い範囲に伸ばして接着強度を確保します. その状態で養生すること1週間.どうやら完全に硬化したようで,まったく隙間もなくしっかりくっついてくれました.これでひとまず走れるようになってから剥がれてこないか検証して効果ありかなしかを判断したいと思います.

次に重要なのはキャブレターが使用可能かどうかです.今回はその中を確認して,交換パーツがどのようなものであるかを見極めるためにフロート室を開けてみたのですが,う〜ん,こりゃ微妙.ガソリンがタール化していて,鼻を衝くにおいがリビングに充満します.気を遣って家族のいない瞬間を狙って作業したのですが,これでは家族が戻ってきたときに匂いが残ってしまうようなキツさです.もちろんフロート室のパッキンも見事なまでに硬化,変形しています.他にもフロートバルブ,ジェット類など掃除してみましたが,フロートバルブはダメそうです.あと低速側と高速側のキャブをつなぐパイプのところのゴムチューブがなぜか変形していて,針金が巻かれています.ここのチューブも交換ですね.

あと作業していてわかったのは,左右のキャブをつなぐ金具があるのですが,その4つのねじのうち1つがキャブボディが欠けていて締められていない.でもなんとかキャブの固定には問題はなさそうという点と,アイドルスクリューが曲がっていて一定以上のねじ込みができないという点が不具合としてわかりました.まあ一応この時点で交換部品をピックアップしましたが,なんとか純正パーツで入手できそうなので,一そろい購入しておくことにしまして,取り付けなどは部品が来てからやることにしましょうかね.

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