キャブのパイピング

車検も取れ,メーターバルブも復活し,キーも完璧.ということで色々な状況をということでいつもの試運転コース+αの試運転を行っている私なのでしたが,やっぱりこの試運転で見つけてしまいました.

というのは季節は夏なので,少し乗ると十分にエンジンはあったまるのですが,その時点での極低速のトルクがめちゃくちゃ細くなってしまうのです.難はというとその発進加速でシビアに現れます.アクセルをあおり,4000回転ぐらいでつなごうとすると,一回回転が落ちます.2000回転ぐらいに落ちてしまうと失速して,そこからの回復に時間が掛かるので,信号の変わる瞬間に非常に気合を入れた加速をしないことには後続車にオカマを掘られてしまうこと必至.一回ひねったアクセルを徐々に開けながらスムーズにクラッチをつなぐという程度の悪い教習車を扱うときのような工夫が必要なわけです.まあ,いつもこうならそのように乗りこなせばいいのですが,これがエンジンの温度とともに変化するので乗りにくいったらありゃしない.

一点だけ思い当たる節があるのです.それはキャブレター.都合2回も付けはずしと掃除を繰り返したキャブレターですが,ザンザスにのキャブレターはフロート室の下側にニンジャの後期型の国内仕様のようにアイシング防止のパイピングがあったのです.で,それをそのまま復旧させれば良かったのですが,悪いことにそのパイピングの端っこを作業中に折ってしまったのです.まあ,アイシングなんて気にしなくてもいいだろうということでニンジャの時と同じようにこのパイピングをショートカットする形でウォーターポンプからエンジンへ配管をつなぎ換え装着していたのですが,これが影響している可能性が高い.

さて,復旧はどのようにするかですが,往生際が悪い私はこの折れたパイプをまだ持っていたりします.これを接着して再利用...と考えたのですが,作業中にゴムホースをはめ込むときに掛かる力や,エンジンが掛かっているときのこのパイプに発生する内圧を考えると憂鬱になってしまいます.したがって今回は新品部品を調達します.ちなみにこの部分のパイプはD1,D3とD4では異なる部品番号であり,なぜかD4のものだけは安い.この車体はD4なようなので,この安いほうの部品が付いています.まああえて高い部品をつけるのはバカバカしいので,安いほうを購入しました.

さて作業です.よもやそんなことがおきるとは思っていなかったものの,今回をあわせ,既に3度もキャブレターを外す羽目になってしまいました.といっても今回はキャブそのものを完全に外してしまわなくても作業は出来そうです.アクセルワイヤーなどはそのままにして,少し狭い作業空間ではあるもののパイプの交換,配管のつなぎなおしを行うことにしました.なおパイプ自体が細いので配管のつなぎ換えのときにそんなダダ漏れになることもないだろう,もし持ってきたら指を当てて食い止めてやるっ!との意気込みで,クーラントについては抜かずに対応することにしました.

まずキャブのパイプの交換です.交換自体は本当にスムーズに行きました.はじめキャブを外すのが面倒なのでなんとかフレーム越しに交換できないものか考えたのですが,それが無駄とわかるぐらいここまでスムーズです.引き続き配管のつなぎ換え.まず,撤去したゴムホースをキャブの逆側に取り付けます.次にエンジンに直結しているパイプを抜き,代わりに新たにキャブにつなぎなおしたホースを差込みます.この時に心配されたクーラントの漏れはほとんどありませんでした.最後にエンジンから抜いたホースを復旧したパイプにつなぎ込んでおしまい.

本当はエア抜きをやったほうがいいんでしょうが,ここではリザーバタンクにクーラントを少し多めに継ぎ足しておき,作業終了とします.


さて,試運転です.エンジンがあったまるまではこの季節,約10分程度掛かります.で,いつもこの現象が現れる信号で停止しました.ここが今回のチェックポイントとなります.さて,いつもの失速を生むアクセル開度でクラッチをつなぎます.しかし回転が大きく落ち込むことはありません.エンジンの温度も水温計が中央を指しているので,これはまさに効果あり!ってことでしょう.その後何度か停止,発進を繰り返し,今までとは明確な違いを体感しその日の試運転は終了〜.

でも,アイシング対策と思われたパイピングがこの車体では高温でのキャブの温度安定を目指して取り付けられているなんて意外です.9Rのエアダクトといい,今回のパイピングといいバイクの進化とともの予想だにしない機構が取り入れられているものだと感心した次第です.っつーてもザンザスは92年発売なので,そんな新しい技術じゃないんですけどね.

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