火入れの準備

ヘッドライトなどの灯火類,吸排気,制動系,足周りのすべてがOKになり,あとは燃料供給と電装系の確認をすれば火入れに持っていくことができます.まずは燃料供給ということでタンクから.

タンクは以前軽い凹みの修正をして,そのまま室内保管されていました.燃料コックも付いていたし,中を見ると錆もそんなにひどくはなかったので,そのまま使うということで特に何もやってきませんでした.で,今回ようやっと車体に載せるところまでこぎつける運びとなったわけです.そして取り付けて早速ガソリンを入れてみたところ,燃料コックからガソリンがぽたぽた.一応交換用のOリングなどは取り寄せておいたので,しょうがないな〜と思いながらコックを分解します.

で,分解してみてびっくり.ゴム類はそんなに硬化したりひび割れたりしていないのですが,コックのリザーブ側の燃料流路が錆で詰まっています.そして,詰まっているだけかと思っていたら,コックのレバー側の本来平面が出ていなければいけない摺動面にこの錆の影響で腐食があり,その腐食を除去したところ,深さにして0.3mmぐらいの凹みが残っていることが分かったのです.これではOリングなどすべて入れ替えたとしてもこのコックは使えないということになります.さあ困った.

で,ザンザスの燃料コックというのはサイドカバーの真ん中から顔を出す設計な上にレバーのダイヤル部分が金属でできているので,カワサキの中でもきわめて異色なものになります.ヘッドライト,ラジエターカバー,2本出しマフラーに加えて,こんなところまで外観にこだわっているわけですね.で,その異色さのためにヤフオクでもコック単体で売られているものもタンクと一緒に売られているものも激レアな存在といえます.

ちょうどその時期まったくそのような出品がなかったので,似たような燃料コックを探したところ,GPZ250R用がちょうど金属のレバーダイヤルで似ているということで早速落札しました.しかし到着したものを確認したところ,レバーコックの外径も少し小さく,コックのシリンダ径もザンサスとは合いませんでした.う〜ん,こりゃどうしたもんかと悩みましたが,同じような形ということであれば樹脂のダイヤルではありますが,ZZ-R250用のものがこれに近かったかも?ということで,なぜか以前入手してあり長期放置してあったそのZZ-R250を家探しして見つけてきました.で,燃料コック本体のシリンダ径は見事一致したのですが,樹脂と金属の違いからか,ダイヤルに取り付ける手法がことなります.なので,切り替えコックと樹脂製ダイヤルがなんとか使えないか画策します.

するとこのプラスチックのダイヤルは5mm程度ザンザスより大きいだけで,前後の寸法関係などはほぼ同じようです.なのでこの樹脂製ダイヤルの外径をグラインダーで削って使えるようにしました.かなり荒療治ですが,側面はサイドカバーを付けてしまうと見えなくなってしまうので,だいたいの真円が出ていればいいかな?ということで強行です.出来上がったら車体に取り付けてみて,コックから燃料漏れがないかを確認します.なんとかOKみたいですが,コックの実際の流路と,白文字の示している内容が異なっていて,一体どこがオフなのか,リザーブなのかがわかりません.

ひとまずONとリザーブがザンザスと同じ位置にくるようにしないといけないのですが,あいにくザンザスのコック本体にZZ-R250のダイヤルを付けると右にリザーブ,下がOFF,左がONになります.左がOFFで上がON,下がOFFのザンザスと近くするためには,このダイアルのストローク範囲を90度変える必要があります.なのでコックのシリンダを抑えている巣突破の機能を果たしているプレートを90度回転させてやることにしました.ちょっと見栄えが悪いですが,ザンザスの場合はここにダイヤルレバーが来て,しかも周辺もサイドカバーがあるので一切見えなくなります.なので,この案を採用して車体に取り付けてみました.サイドカバーを付けてその状態で確認したところ,ONとリザーブはOKですが,OFFが180度反対の位置に来てしまいます.まあここらへんは運用でなんとかできる範囲でしょう.ということで燃料コックについては一件落着.

で,いよいよ火入れに向けて準備します.まずバッテリーですがこれはまた中国製の安いもの.少し補充電して車体に搭載します. 一通り電装系を確認したところ,右前のウィンカーが付きません.なんでかなと思ってテスターを当てたりして確認したら,ソケットの金属部分にアースを取っているのですが,そこが導通不良でした.磨きなおして取り付けたらウィンカーは問題なく点滅してくれました.ホーンなどもOKということでセルも元気に回ってくれるのを確認できましたので,早速火入れに移ろうと思います.

で,燃料ポンプを無理やり回すために家庭用電源から12Vを取って燃料ポンプを回します.ジャンパ線をワニ口クリップで取り付けて,少し危険ではありますがコネクタに裸の端子を突っ込んでポコポコと燃料ポンプを回します.で,キャブのフロート室にガソリンが行きわたったようで燃料ポンプが過負荷で止まったところでワニ口を外します.その際に少しパチッと火花が散りました.で,その直後私の鼻にガソリンの香りが漂ってきたのです.これはめちゃくちゃ危険です.早速ACアダプターやジャンパ線などを車体から遠ざけ,電源と抜きます.で,よく見るとガソリンコックのあたりから燃料が漏れているのを見つけました.あれ〜?せっかく燃料コック問題を解決できたと思ったのに?ということで燃料コックを再び分解.でもおかしいところはありません.なのでもう一度つけてしばらく放置しているとまたガソリンコックあたりからガソリンがしたたり落ちてきます.一体どこからガソリンが漏れているのか特定するため,タンクを少し持ち上げて覗き込んでみたところ,なんと燃料センサーの付け根あたりから漏れています.

ここのパッキンも交換したはずなので,もれるはずはないんだけど?ということで,こちらも一度センサーを外してパッキンやそのあたり面,ねじの密閉性などに問題がないのを確認して,再度取り付けてみます.今度はどこから漏れてくるか目を凝らしてみるために,玄関脇の物置と長い木材を使って橋渡しにタンクを置いて下から凝視します.すると,1分もしないうちにセンサの取り付け部分の台座の裏からガソリンが漏れてきました.そうです.以前ほかの車種でも経験しましたが,この取り付け座の裏側が錆びていて漏れてくるというタイプの原因だったのです.

さて,さんざん苦労して結局このタンクは使えないことが判明しました.目前に控えていたと思われた火入れがまた一気に遠のいてしまい,壮絶な眩暈を覚えながら次回に続きます.

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