タペット調整(その1)

前回火入れにおいてエンジンが様々な部品交換したもののついに回らなかったのをとにかく何とかしなけばいけないということで,状況を整理します.

・セルは勢いよく回っている.
・火花はプラグを新品にしてほぼ問題なく飛んでいる.
・キャブはフロート室にガソリンは来ていて,ジェット類も詰まりは無い.

ということで,あとは点火タイミングか混合気が点火する状況に至っていないかです.点火タイミングはポイントカバーをあけてみて物理的におかしいところ(取り付けが逆とか)はなかったのですが,ホントはフラッシュライトとかでちゃんと点火タイミングを確認しないといけないんでしょうね.でもフラッシュライトは高いので今回は混合気が点火できる状況にないという可能性に探りを入れてみることにしました.

熱力学のお勉強をしたときの内燃機関のサイクルを思い出します.要は混合気が圧縮されて初めてエントロピが増大しはじめて点火できるわけで,まず圧縮できているかどうかが怪しくなってきたわけです.このようにいろいろ思考を巡らせたおかげで,セルモーターをいじってからはや1週間たっていますが,その週末にうちではあんまり登場しないプレッシャーゲージを出してきて早速コンプレッションを測定します.すると1番シリンダーにゲージをねじ込み,セルモーターを回したところからいきなり写真のような状態.ちょっと測り方を間違えたかなと思えるほどの低圧.ちょっとびっくりです.ねじ込みを確認したりして何度かやってみてもこれ以上針が振れることはなく,これは間違いなく1番シリンダはスカスカということです.

で,作業を続けると2,3番は1番とほぼ同じ数字.4番のみ少し針が弱弱しくでも動いてくれて,それでも5.5kgf/cm^2ってところ.こりゃ圧縮全然できていませんわな.そういえばセルを長いこと回していたら,スコスコスコバファスコスコスコバファって感じの音だったんで,このバファが4番シリンダの出す音だったんでしょうね.それでも一応クランキングですごい異音がしたりしていないので,バルブがピストンにぶっ刺さったりしてはいないと思いますし,ヘッド周りをあけてちゃんとバルブが動いているかなどを早速確認してみることにしました.

ヘッドをあけてみたところ,写真のような状態で,カム山には一部小さいひっかき傷のようなものも見て取れますが,まだまだ全然大丈夫のような状態.手でクランキングさせてもバルブの動きに引っ掛かりなどは無く,なんとか大丈夫そうです.ということでタペット調整だけで何とかなるかも?と推測し,まあ概略ですがタペットクリアランスを確認することにしました.その結果,バルブ8ケのうちなんと5か所でクリアランスが0という状況であり,クリアランス自体を測定することができないということが判明しました.

まあタペット調整自体はこの以前eBAYで入手したz400FX〜GPz400Fあるいは550のサービスマニュアルを参考にやることにします.ここらへんはいい加減な作業をしてエンジンを壊さないためにも必須ですね. しかしこのz550GPの場合,シムがインナーシムになっていまして,シムの交換にはカムシャフトを外す必要があります.例えば薄い基準シムを1つだけ購入して1ケ1ケクリアランスを確認したとしても5つも隙間が0のところがあるわけで,5回もカムを着脱する必要があります.古いエンジンの場合この着脱でカムブラケットを止めるネジがバカになってしまったりトラブルも多いと聞きますので,カムの着脱はできれば回数を減らしたいところです.そこで基準タペットシムを4つ購入することにしました.それも必ずそのシムではクリアランスが出来なければいけないので,その厚みも慎重に選ばなければいけません.まあ一番薄いのでダメだったらバルブを削ったりまた大変な作業が待っているんで,今回は無駄になってしまったとしてもそれの要否が一発で分かるようにと腹をくくって2.00mmのものを4枚購入することにしました.さて,しばし基準タペットが来るまで時間がありますので続きは次回ということにしましょう.

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