まず鍵をなんとかする(その2)

前回は苦労の末タンクキャップが開き,中が大変なことになっているのがわかり複雑な気持ちにはなりましたが,作業を続けていきます.お次はシートロックです.といっても鍵の方は手持ちの鍵が奇跡的にそのまま使えるのがわかっていますので,本来ならばシートロックは作業不要と行きたいところなのですが,今回の場合そうはいきません.

シートロックの本体はキーシリンダーにワイヤーでつながっているのですが,キーがないままシートを無理矢理はずしたようで,シートロックそのものが変形してしまっているのです.見たところ左右の穴の中に爪が出てきてシートから出ているダボピンの側面にある溝に引っ掛けてシートを止めるようになっているのですが,力任せにシートを引っ張り上げたようで,その爪が上にせり上がって,板金部品の蓋を曲げてしまっています.ついでにその板金部品を止めているカシメピンも破損しています.幸いにも中間にあるプラスチック部品は破損しておらず,爪も大きな変形はないようなのでなんとか修理にチャレンジする価値はありそうです.まず,曲がりまくってしまっている板金をまっすぐにします.これは鉄板で挟んで外からハンマーで叩いてだいたいまっすぐになったところを部分的に微小な曲げをまたハンマーで叩いて修正していきます.

次に爪ですが,微妙に変形して出っ張っているところができていたので,ハンドグラインダーで形を整えて,プラスチック部品にセットして板金カバーをかぶせてスムースに動くか確認しながら形を整えていきます.だいたいワイヤーでひぱって引っ掛かりなく動くようになったところでシートの裏にあるダボピンに引っ掛けてみてワイヤーをひいて問題なくリリースできるかを確認します.問題なさそうとなったところでカシメピンの先端をつぶして板金カバーを固定して出来上がり〜.かなり強引なところもありますが,なんとかシートロックの修理ができたようでひとまず安堵.

さて,最後はメインキーです.タンクキャップ,シートロックでは問題なく機能したキーもメインキーではさすがにそのままではダメ.理由はメインキーのみほかのキーよりキープレートの数が多く,適合確率がさらに低くなっているからに他ありません.ここまで適合したら本当に宝くじに当たるよりも低い確率といっていいでしょう.で,一応キープレートの残りがどうなっているかわからないものはキーシリンダーを分解するしかありません.しかしその作業風景はお見せしないほうがよさそうです.というのもこのZRX中期型ではキーになっていますが,後期型はイモビライザー搭載ということですこぶる盗難の多い車種であったということもあり,このZRXのメインキーシリンダーというのはかなり苦労して盗難防止措置が取られているようです.ということで,汎用の工具しかない場合かなり苦労しないと分解することはできません.それを紹介してしまうとせっかくメーカーが苦労した盗難防止措置を台無しにしてしまうことにもなると思いますので.まあなんとなく説明しておきますと,箱根細工のようになっていて正当なキーがないと分解することができない構造になっているとだけお伝えしておきましょう.これをどのように分解したかはとにかくナイショ.

さて,分解して残りのキープレートを手持ちの中からキーに合わせて仕込んだら再度組み込みします.組み込んでからよく見たら,ZRXのキーシリンダーって少し深く作ってあるようで,偶然タンクやシートロックで適合したキーがすっぽり入り込んでしまいます.でもこれでもちゃんとキーは回りますので,今回はこれで行くことにします.恐らく純正は少し根元が長いZX-9Rとかと同じようなキーを使っているのだと思いますが,確かにトップブリッジ上にハンドルポストがあるZRXの場合,ここが短いとキーがまわしにくいかもしれませんね.とまあこれで1本のキーですべての鍵が開くようになりました.あとは組み上げができるようにほかの準備を進めないといけないわけです.あ〜楽しい.

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