さて，落札はしたものの相手の方との連絡がこれまた結構大変で，どうも出品者は代理出品だったようで電話番号を教えるのであとは直接やってくれの一点張り．まあ代理出品でいきなり不信感を感じるほど私もやわではないですが，相手の方の携帯番号をおしえてもらっていきなりこのような車体，特にタイヤがなくって押し匹もできないし，とにかく現場でばらさせてもらうしかないような場合，詳細なやり取りはどうしても必要なので，電話だとなかなか大変なのです．で，引き取りに行くにしてもその相手の方の住所というのが，かなり田舎なのかマップ検索しても出てこないのです．果たしてばらす場所は周辺にあるのか，行ったとしてちゃんと落ち合えるのか，ことごとく不安なわけです．
で，なんとか土曜日の朝予定が合いまして引き取りにはせ参じます．いつものようにプリウスの後ろの席を倒し，厚めのコンパネを２枚，エアキャップを敷いた上に並べて，工具は１式積載，あとCRCや段ボール箱を２−３箱積んで出発です．幸いにも圏央道がつながって，ほぼ高速道のみで，なおかつ首都圏は通過せずとも福島までは行けるので，ほぼ時間通りに到着．近くの道の駅から電話をかけたところ，しばらく行ったところに農協があるから，そこの駐車場で待つように指示．10分弱走行して，その農協の駐車場から再び電話．するとその駐車場の国道を挟んだ真ん前がご自宅のようで，そちらに車を入れるようにとのこと．相手の方は私より少し上か同じ程度の歳のおじさまでしたが，明らかに私が若いと思っているようです．そりゃそうでしょう，このような車体をわざわざプリウスで引き取りに来るんですから，しきりにプリウスに詰めるかどうかを心配なさっています．
幸いにも車体は出品写真では何やら庭の隅っこに放置されているような感じだったのですが，実際にはこの作業に合わせて引きずりだしてきてくれたのか，写真のような立派な蔵の前にデンと鎮座しております．オイルとかが漏れたらよろしくないので例の廃カーペットを敷き，早速作業に取り掛かります．するとあまりの手際の良さに感心したのか，いろいろ事情を質問されました．普通のサラリーマンであるということ，この車体もここから１台起こそうと思っていること，主にカワサキ車ばっかりやっていること，今までどんな車体をやったのかとかいろいろ．まあにわかには信じられない感じでしたがまあそれで感心していただけたのかどうかわかりませんが，シートもあるんだけどいる？とかリアウィンカーもあるよとかおまけをつけてもらえました．お話によるとこの方もZZ-R1100のC型に乗られていたのだけれど，今は違うようです．なかなかいじり倒すご趣味のようで，ここらへんは私なんかよりずっと上級者の方なんだなと思います．
ということで，お話を伺いながら失礼とは思いつつも作業を進めます．作業時間は２時間ぐらいと言っていたのですが，大体１時間たったところでフレームとフロント周り，エンジンのみになりました．エンジンをフレームから外す時にチェーンがあると邪魔になるので外したかったのですがスイングアームを外すと時間がかかるので時間短縮のためチェーンをカットしたかったのですが，チェーンカッターを持ってきておらず，お借りしたのですがどうも簡単にはカットできず，グラインダーが必要ということになりました．しかしグラインダーは持ってきていなかったので，結局相手の方にグラインダーをお借りして対応するなどしてようやくエンジンがフレームから外れました．あとは積みこむだけです．
さてパーツをそれぞれプリウスに積みこみます．さすがにZZ-R1100ともなるとクランクが重い分ニンジャのように一人で持ち上げるのはかなり骨が折れます．今回ジャッキも持ってきていませんので，エンジンの積み込みの際にも相手の方にお手伝いいただき，まずエンジンを積載．次にフレームという感じで大物から徐々に詰め込んでいって最終的には写真のような状態に．当初プリウスに詰めるものか非常にご心配をおかけしたんですが，相手の方もこの状況を見てかなり感激してくれました．まあこんなところに喜びを見つけるのも私ならではかなと思うわけです．
で，作業中に相手の方はガレージの方に何度か行かれていて，その間なかなか気持ちの良いエギゾーストノートが聞こえてきておりました．いろいろお話を伺っていると，どうもそれはゼファー750とのこと．せっかくなので見させていただきましたが，いろいろカスタムも交えて外観の美しさにもかなり力の入った見事な出来上がりのゼファー750がそこにおわしました．フォークなんかもゴールドめっきがかかっていて，最新のカスタムマシンのイメージながら乗りやすさにもこだわった作りになっています．いつかはこんな格好の良い車体も仕上げてみたいもんだと思いながら，ガレージの奥を見てみたら，なんとこちらもかなりカスタムされたGT750が，相手の方によると遅いし乗りにくいしとのことでしたが，この排気量の２ストを手掛けるということはかなりな手練れだとお見受けしました．そんなこんなで積もる話もありましたが，結局このお話などしていた時間も合わせて約2.5時間で片付けも合わせて作業終了．
まあ出品者の方は代理出品ということでどうかな？と思いましたが，車体の持ち主の方は非常に良い方でしたので，福島という遠くに引き取りに上がったわりに楽しく引き取りができました．帰路はひたすら戻るだけですが，後ろで重いZZ-R1100のエンジンが少々動いてしまいほかの部品を押しのけてしまい，肝を冷やす場面もありました．まあそんなこんなで帰宅したのはほぼ夕方で暗闇の中一人エンジンを下ろしたりで，部品をいつものようにカモフラージュで隠しつくしたのが７時ぐらいになっていました．早朝から今までにないほどの遠路引き取りに行って，かなり疲労はしましたがなんとか初めてのZZ-R1100に取り組むモチベーションを上げるのに適度なイベントであったかと思うのです．
