ミッションカバーをどうにかする(その3)

さて前回は失意のどん底で終了となりましたが,今回も引きずっています.自分としてはエンジンをずらして交換ができると思い込んでいて,気分的にとってもイケイケだったこともありその分落差が大きく,少し気を失ったようになってしまいました.で,エンジンを結局おろさないといけないかな?といつ頃作業するべきかを頭の中で予定を組み始めたところまでいったのですが,どうもこの期に及んであきらめる気持ちになれません.元はといえば,設計者のミスでミッションカバーを交換するだけなのにエンジンを下さなければいけないという,はた迷惑な状況が作り出したものです.その被害を30年近く経って馬鹿正直に被るのはいやだと心が叫んでいます.なので,少しやけくそ気味ではありますが,強行することにしました.

ミッションカバーはよく見るとC型についていたものとD型用として売られていたもので多少異なります.D型にはスプロケットの右側に何か取り付けねじがあります.これはスプロケットカバーの取り付けねじがD型で1本多いってことなんでしょうか.あと,オイルゲージの真ん中のスリットとは別に4ケの穴が開いています.ここらへん,オイルができるだけ早くゲージの中に流れ込んでくるようにという工夫なんでしょうか.まあそんな違いはありつつパーツリスト上は共通部品になっていますのでこのD型用のミッションカバーはC型に取り付けても問題ないということになりますので,まず取り付けにあたってフレームと干渉する部分で機能上問題ないレベルまで各部を削ることにしました.まず,エンジンを極限までジャッキで持ち上げることにしました.この状態で約20mm程度上に上がっている計算になります.この取り合いにおいてミッションカバー側では

・上部の取り付けねじの右側の肉とその周辺の壁
・D型でしか使わないスプロケット右側のねじの部分
・下の取り付けねじの左右の出っ張りを少々

そしてあんまりやりたくはありませんでしたが,あろうことかフレームにまで手を出してしまいました.下のねじが当たるフレームのサイドスタンドがとりついているあたりの干渉している部分にR面取りをしました.でもこの程度であれば強度にも影響はないでしょう.実はこれらの削る作業はグラインダーでやったんですが,少し削っては当たる場所を確認して,次に強度上,機能上問題ないところがないか確認して,削っては車体に当ててというのを何度も繰り返しましたので,都合10数回繰り返しています.2時間はかかっていませんが,かなりな時間をかけて調整していったわけです.

で,少し入れるのに苦労はしましたが,なんとかシフトシャフトやストプットシャフト周りのOリングにも過大な力をかけることなく,なんとかミッションカバーを取り付けることに成功.うぉっしゃーああああぁ!

あとはエンジン下のジャッキを徐々に下げ,ねじ穴同士がぴったりあう高さでねじシャフトを打ち込み,固定します.忘れずに前のエンジンマウントも締め込み直して,この人作業は終了です. ということで本日の作業は終了です.が,このZZ-RのC型って2速に問題ありっていうことで,早々にD型に代替わりしたのかと思いましたが,よく考えたらC3では対策しているんですよね.それなのにD型になったっていうことは,このミッションカバーがエンジンから降ろさないと外せないっていうのが致命傷になってD型に比べて3年強というごく短命に終わってしまったのかなと思います.いや〜,それにしてもフロントフェンダーといい,ミッションカバーといい,よく考えてバイク設計してよ〜って30年前の人にいっても無駄か.そんな被害者意識満載の気持ちで工具類を片付けます.

作業を終えて,その顛末を記録しておきます.別に今更カワサキにクレームをつけるわけでもありませんが,それにしてもこのC型の設計の悪さは他の車種を圧倒する程にひどいです.ミッションが弱いということで比較的短命に終わったといわれていますが,このように様々なメンテナンス性の悪さを目の当たりにすると短命に終わった理由の大半はここにあったのではと思わざるを得ません.まあその前のZX-10やその前のGPZ1000RXと比べてそう極端に販売期間が短かったわけではりませんが,その後のD型が10年近くもフラッグシップであれたのに比べてあまりにも不甲斐ない経歴ではあります.まあ当時海外の販売店の意見も徐々に大きくあった中で,このメンテナンス性の悪さは販売成績を伸ばす上で大きなデメリットであったでしょうし,それをいち早く解消するためにD型が93年にリリースされたのでしょう.いらない苦労をさせられたくせにそんなことを考えると,今になってこの車両がとてもいとおしく思えてしまう,そんなおセンチな気持ちになってしまう異常思考の私なのでした.

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