そろそろ深いところをやっていきましょう．今回はヘッドのオイル漏れ．ここも事前に連絡されていたところですが，そんなに手間もかからずなんとか直せそうなところなのでやってしまいましょう．ひとまず純正新品のヘッドカバーガスケットを購入．作業は到着早々に開始です．
シート，タンク，エアクリーナーボックスを外し，プラグコードを抜いたらヘッドとご対面．案の定ヘッドはオイルが寄せ付けた塵などがスラッジとして堆積していてなかなか酷い見栄えです．これらが側面まで流れて行っており，エンジン全体がかなり汚れた状態です．オイル漏れの量はというと，ここまでかなりな距離を走ったにもかかわらずオイルレベルはあまり変わっていませんので，そんなでもないといえるかもしれません．これはかなり前から徐々に漏れてきて，ここまでの量が表面に堆積しているのでしょう．漏れの原因は単なるガスケットの寿命なんだと思いますが，これだけ広範囲にオイル汚れが広がっているのは他にも何か原因があるかもしれません．通常ヘッドカバーガスケットが駄目になっているだけならば，コレほどまでヘッドカバー上面が汚れてこないはず．う〜ん，一体何があるのか怖い．
ということで，ひとまず掃除．プラグホールにスラッジが落ちないように養生して，ひたすらオイルをふき取っていきます．でもオイルがひたすら供給されたせいでしょうか？大変そうに見えてもぜんぜんふき取りは大変ではありません．それにしてもかなり厚みのあるスラッジなのでウェスがすぐにべとべとになってしまいます．シリンダブロック側面あたりのものもかなり厚みを持っていて，フレームの間から指を通して全体をふき取ります．
綺麗になったらここでヘッドカバーガスケットの交換に入ります．まずヘッドカバーを止めているネジを緩めま....す．あれ？ぜんぜん締まってないよ？ひとまず１本緩めてネジを抜きましたが，引き続いての２本目もまたぜんぜん締まっていません．まさか？と思って全部のネジをチェックしましたが，これまた見事に8箇所全部が緩みまくり．
見てみると，ヘッドカバーを止めるネジは忍者とは違って，ネジの首下にゴムパッキンを挟むタイプでこのゴムパッキンがかなり薄く変形しているようです．恐らくこのゴムパッキンが新品状態から薄くなったことでネジの押さえ力が低下し，そのせいでオイル漏れに結びついたのではと思われます．で，この状態でまた締めこみなおすと解決するかどうかですが，ゴムパッキンが多少薄くなっていてもネジ穴を掃除して再度締めなおすと，結構トルクが掛かることがわかり，ゴムパッキンはこのまま流用することにしました．すべてのネジを一旦緩め，ネジとネジ穴，ゴムパッキンを清掃して組みなおすのを繰り返し，ひとまずヘッドカバーガスケットはせっかく入手したものの交換しないというという暴挙に出ました．これは渋ちん根性と意味のないチャレンジ精神の賜物です．
さてここでヘッドガスケットに関しての作業は終了．引き続いてせっかくキャブが頭を覗かせているのでキャブの同調を取ってみます．今まで走ってきた中で，同調はそんなに大きくは崩れていないように思いましたが，まだ合わせこめそうな予感がしたので，とりあえず測定のつもりで例のバキュームゲージを持ち出してきてセット．早速エンジンに日を入れて少々暖気．バキュームゲージの読み値を見ると，１番と２番がえらく違う．というか２番だけえらく低い．脈動もあんまりありません．暖気も済んだので１，２番の間の調整ネジを回して調整していきますがぜんぜん合いません．しまいにはエンジンの回転がぜんぜん落ちなくなってしまい，アイドリングスクリューをいくら緩めても4000回転とかになってしまいます．
何で？と思ってトラブルシュートしたところ，どうも２番につなげていたバキュームゲージのチューブが破れていて，ちゃんと吸い込めていなかったようです．う〜む，これは気づかなかった．けどもうこのチューブ使い始めて既に9年経っているので無理もないでしょう．ひとまず破れていたのはキャブのニップルに挿す部分の根元側なので，先端をちょっと切断して再度トライ．しかしあまりにも調整ネジを回しすぎて，他の３気筒のバタフライバルブがかなり開いた状態になっているようでぜんぜん回転が落ちません．うちの前で作業しているので，これだとかなりうるさくって近所迷惑．
仕方ないので一旦キャブを外してバタフライバルブを目視で調整します．またアイドリングスクリューも一体どこが開度ゼロなのかわからないような状態になっていたので，元の位置に戻しました．かなり時間をロスしてしまいましたが，ヘッドカバーガスケットのほうが短時間で終わったので，この程度はあまり問題になりません．とにかく目視調整を終わらせ再度バキュームゲージを接続．今度はほとんど調整しないで４気筒とも規格内に納めることが出来ました．エンジンの回転も気持ちスムースになった感じ．
その日はあいにく試運転は出来なかったのですが，後日かなりな距離を乗ることがあったので，乗り終えてオイル漏れのチェックをしたところどうやらもれは発生していない様子．同調をあわせた効果については，それなりに感じられる程度といったところ．ああ〜，時間を掛けなかったオイル漏れのほうは効果あり，時間を掛けた同調のほうが効果が薄くってどうも効率が悪い感じがします．まあ世の中そんなもんだ．
