まずは簡単に出来るところから(1)

さて,何から手をつけてよいか悩むところですがお手軽にいけるところからやっていきましょう.というのもお手軽でとっても影響力のある補修がひとつあるからです.それは例のミラーのカラカラ音です.デポからの帰り道,車体の状況を少しでも多く把握しておこうと耳を済ませていたにもかかわらずほとんどその努力が報われなかったのは,まさにこのミラーのせいです.これをなんとかしなければ今後も車体の状況を耳から把握することは不可能に近いのです.従ってこれを手始めとします.

さてどうやってカラカラ音を止めるかですが,方法は簡単です.ミラーとケースの間の隙間を生めるために接着剤を流し込むだけ.それに流し込むといっても特殊な手法を使うでもなく単に黒いスーパーXを爪楊枝の先につけてぺたぺたとミラーの縁に塗っていくというもので,その仕上がりといったら汚いったらありゃしない.ミラーの縁に何箇所も接着剤がべたーっとくっついていてコレでは見れたものではありません.

でもここからは養生を1日かけた後の作業になります.いくら汚らしく接着剤がくっついていても,養生が済めば,スクレーパーでこそぎ落とせばなんとか綺麗になってしまいます.出来上がりはというと外観はまあそんな紆余曲折があったかどうかわからないようにはなっているはず.あとはその効果ですが,以前はカウルをたたいてみるとミラーから金属音がしたのですが養生後はそんな音がしなくなりました.ということで第一ステージクリアです.

次は何をしようかな?ということで次は実際の走行に問題があったところに手を入れたくなってしまいました.そうです.クラッチすべりです.

クラッチすべりについてはその原因がいろいろとあって,単にクラッチプレート交換で修理できてしまう場合とそうでない場合があります.この車体は60000kmあたりで一度クラッチプレート交換しているとのことで,それから40000km以上走っているとしてもその程度ならクラッチプレートを交換しなければいけないなんてことはないと思われます.またこういった複数要因に原因が散らばっている可能性があるケースではまず安い部品のところから手を入れていくのが鉄則です.特に調整機構がある部分は部品を購入せずに直ってしまうケースもあるので,まず手をつけるべきはクラッチワイヤの調整なので,まずそこから見てみましょう.初めに見るべきはクラッチレバー側の遊びです.握ったところほとんど遊びがありません.アジャスタを見ると遊びがないにもかかわらずアジャスタが目いっぱい短くなっています.これは遊びを増やそうとしてもレバー側ではいかんともしがたい状況であるということ.

仕方がないのでクラッチハウジング側のアジャスタがどうなっているかを確認することにします.ZZ-R600はフルカウルなので,この確認をするだけでアンダーカウルをはずさなければいけません.アンダーカウルを止めているネジは一部固着してしまっていたようでかなり苦労しましたが,なんとか右側のみ2本ネジを残して他の部分ははずせたのでその時点でクラッチワイヤのアジャスタが姿を現しました.見てみたところ,アジャスタは目いっぱい引ききった状態で,ゴムブーツがワイヤを隠せていないほどになっています.要はレバーの方は一番長くなるように,ハウジング側は短くなるように調整されているわけで,これはあまりにも不自然です.

ここでひとつ推理してみました.車齢からすればクラッチワイヤは何度か交換されているはず.バイクやさんがまさかそんなことするとも思えないのですが,ワイヤの取り付けをひとまず一番短い状態に引ききった状態で調整しようとしてそのままカウルをつけてしまったがため,レバー側のアジャスタを一番長い方向にしてお茶を濁したのではないでしょうか?まあ何でこんなことになっているか推理するより,これでどんな解決法があるかですが,ここでは単にハウジング側のアジャスタを大体中間にあわせ,あとはレバー側で適正な遊びが出るように調整してやればまともになると考えたわけです.

ということで調整してみたところレバーに少々の遊びが出来,まともなタッチになりました.エンジンを掛けてみてクラッチを握ってギアを入れたときのガコンとくるショックがどの程度まで大きくなっているかをチェックしましたが,この程度ではあまり大きくなっていないので,まだクラッチプレートの間隔が広いのではないかと思います.従ってレバー側のアジャスタをもう少しゆるい側に調整します.ちょうど良くなったところでこの日の作業は終了.試運転は思うところがあって後日.これでクラッチ問題がクリアできればいいな〜.

続きは次回.またまた小さいトピックが満載です.

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