No.9- 電装系で持っていた方が良い技術(その1)

電装系は一通りご紹介したものの,少しそれだけでは足りない部分があったような気がしますので,今回はまとめてそこらへんをご紹介します.特に電装系部品の補修で役立つ技術ということになりましょうか.

<半田付け>

今まで中古のパーツを購入して使用しようとして,幻滅したことがあるのは電装系の配線をいいかげんに延長したり,切断して組み替えたりしているものが多いということです.例を挙げるとハンドルをアップハンに換えるのにハンドルスイッチの延長をするために一旦切断して中継ぎ延長するときに,単に口出しした銅線をよじっただけでビニテを巻いてごまかしている点や,ウィンカーの配線をカワサキギボシに無理やり標準ギボシを入れるためにギボシを変形させて接続していたりするケースです.

関連記事1:ZXR750で延長ハンドルスイッチに泣く

しかも,そのハンドルスイッチ延長というのを請け負って仕事にしていた業者が一時期いたようで,その延長ケーブルの色が必ずいつも同じというのがとても気になっています.要は仕事を請け負ってやるからにはお金をもらうわけですので,品質は保証されていなければいけません.それをよじってテープで巻くだけで済ませるなんて,神経が許せない.ということで,私の場合はこれをちゃんと半田付けして接続して収縮チューブを掛けるというのを徹底しています.まあ,ギボシ接続するケースもありますがとにかく確実に接続するというのと,水の侵入がないように収縮チューブでかならずシールするということになります.

で,半田付けに関しては私の場合は中学の頃の電子工作でさんざんやりましたので道具はそろっていますし,それなりの技術もあります.で,それが素人に難しいかというと今だと道具もよくなっていますし,手引きなんかもwebにいっぱい出ていますので,比較的簡単にできるようになると思います.まあとにかくまずはやってみることだと思いますが,注意しないといけないのはまずは安全でしょう.小さなお子さんやペットのいるところでは絶対やらないことや,こて先に常に注意をはらうとか,燃えやすいものを周辺に置かないとか,常に換気をするとか保護メガネをするとかは必須です.

また,コツとしては半田を載せる部分の酸化層などを除去するためペーパー掛けをしたり脱脂したり,こて先をきれいに保ったり,熱が逃げにくいように保持するなどが挙げられます.仕上がりとしては玉半田や糸引きの突起を残さないなどですかね.あと配線をつなぐときによくやってしまうのが必ずどちらかに熱収縮スリーブを通しておくことですね.私も基板に半田するのは慣れていたんですが,バイクの配線をいじるようになって半田で結線するのになれていないときにはよく熱収縮スリーブを忘れたり,半田の熱がケーブル伝いにスリーブに伝わって先に収縮してしまったりしました.最後はちゃんと半田付けして固まったところで引っ張ってみて強度試験してみるとか.

まあ,道具も最近では100円ショップで買えたりしますし,何度もやっていると結構なスキルとしてそこそこ自慢できるレベルになりますのでお勧めです.

<コネクタ付け>

ここでいうコネクタ付けというのは,コネクタ同士を単に接続するのではなく,ケーブルに端子を打って,コネクタに組み込むというものです.まあコネクタ同士を接続したり抜くのも,結構古い車体になると工夫が必要だったり,端子が変形してコネクタはつながっていても導通が取れないなどありますが,そこらへんはコネクタ形状や機能の理解,物理的接触の原理など簡単に語れませんので今回は端子打ちを伴うものです.

背景としては最新のバイクであれば事情は違ってくるかもしれませんが,それなりに古いバイクになると使用されているコネクタというのはamazonやモノタロウで購入できますし,ホームセンタやカー用品店で買えたりもします.旧車になるとコネクタが部品取り状態で紫外線にさらされボロボロになっているケースがあったりしますので,そういった場合や,前述のようないけてない改造がされているケースを正常化する際にはコネクタ交換が必要になります.

コネクタ交換においては端子を古いコネクタから抜いてみての変形や腐食が品質に影響しそうであれば打ち換えをすることになりますが,私の場合,この打ち換えにおいて端子のカシメにはもう30年近く使っているホームセンターで一番安かった電工工具セットのカシメ工具を使っています.まあラチェットが付いていてカシメきるまでしっかりと押し切ってくれる専用のものもありますが,端子の形状が様々ある上に,ケーブル径によっても端子がいろいろ異なる中,それらに合わせて個々にカシメ工具を用意することなんかできませんので,とにかく1本でなんでもできるということからずーっとこの1本で済ましています.で,摩耗してきたら買い替えようと思っていますが未だ現役で使えていたりします.まあ握力の限りカシメきってしまう必要があったりしますのでかなり体力も使いますが,カシメにおいて必要なのは把持力ですので,半田の時と同じですが,とにかくカシメたあとに引っ張って強度テストをするのが必須です.まあ端子とセットで購入したような端子の場合は一回抜けてしまうと再利用不可ですので,抜けないかどうかを抜けきってしまう前に判断する必要がありますのでそんなことできないという人は親の仇みたいにカシメまくるしかありませんが.

また,安価な端子やコネクタしか購入しないので,端子は大体カシメ部分の形状がそのままではカシメ工具にセットできなかったりしますので,まず初めにペンチなどで適度にカシメ部位を曲げてやる必要があります.だいたい成形出来たら口出ししたケーブルを通し,問題なくカシメられるかをチェックします.で,カシメつ箇所は銅線とケーブル被覆の2か所あるのですが,私の場合,必ず先に被覆の方をカシメるようにします.なぜかというと被覆のほうはかなり深く被覆に食い込めますので,その後銅線のカシメをして端子が多少変形してもちゃんと把持してくれますが,この逆で作業すると後段で被覆のカシメをやったときに端子が変形して銅線側のカシメ具合が劣化することがあるからです.ここんところ多分ちゃんとした指南書を見ればそう書いてあるんでしょうけど,私は何度か失敗してようやくこの順番が良いと理解した次第です.なお,銅線のカシメも被覆のカシメもとにかく端子のカシメよりも先に少し銅線や被覆を出した状態カシメなければいけません.ここを短いままカシメてしまうと簡単に抜けてきてしまいます.あとは安い工具でカシメると端子が意図しない形状に変形してしまうことがあるのでちゃんとコネクタに挿入できるように整えてコネクタに挿入します.

関連記事2:ZZ-R1100C型でハーネスを修理

とまあこんな感じで安い工具でもひとまず様々な工夫で30年近くやってきてますので,ここも初期投資をそう気にせずにやれるところですので,ご興味のある方はぜひやってみてください.

半田と端子かしめだけで結構なボリュームになってしまいましたね.残りは次回といたしましょう. 

KEN-Z's WEBのトップへ NEXT