No.7- シート張替え(準備編)

バイクのメンテナンスの中でも結構不具合として発生するとメンドクサイものの中にシート破れがあります.シートが破れてしまったがためにバイクに乗らなくなり,その末調子が悪くなるケースもあるようでして,ここを如何に安価に,短期間で乗り切るかは長くバイクライフを楽しむ上でのポイントにもなってくると私は思っています.

そもそも私がシートの張替えを自分でやってみようと考えたのは,若いころ乗っていたGPz400Fは中古で購入してすぐシートの縁の縫製が破れてバイク屋さんに修理してもらったのと,その後購入したGPz750Rは最初っからシートが破れており,これもバイク屋さんに中古のシートを売ってもらってなんとかして経験があるからです.それらは決して安価なものではなく,当時すぐに修理,交換できたのはバイク屋さんが機転を利かせてくれたからに他ありません.

あと,シートの張替えというのは必要な道具をそろえ,シート生地がそれなりに安価に調達さえできれば練習ができるということになります.というのもわざわざ所有している稼動中のバイクの破れていないシートを張り替えなくとも,ヤフオクで売っている破れありシートを購入して,練習台として,うまくできたらまた売ればいいということで,もう20年以上前になりますが,かなりな数をこなした思い出があります.

今回はそういった経験などから語っていきたいと思います.

<シート張替えに必要な道具>

まず道具としては最低でもガンタッカーが必要です.でも私の場合,エア駆動のものとかまでは購入していません.大昔のWEBで紹介したMAXの約1000円で入手したものを未だに後生大事に使い続けていたりします.実は,今まで練習を含め30以上のシート張替えをしてきましたが,結論としてタッカーに必要なのは程よい推進力だったりするのです.

関連記事1:GPZ750Rシートで初のシート張替え(2部作)
関連記事2:GPZ900Rシートで針を抜きやすい工具紹介

というのも,シートのベース樹脂が固くうまくいかなかったときにこのタッカー以外にもよりハイパワーなものを試したりしたのですが,結局針が曲がって入っていかないのです.要は針がタッカーの推進力に負けてしまって,樹脂を貫けないということになります.でもそうなるともっと強い針を使ったら?となります.もちろんプロの方がエアツールのタッカーですごくぶっとい針を使用しているのは知っていますが,もしそれを私がやったとしてそれを紹介したところで高い工具と針でできているという自慢のような感じがしてしまうのです.なので私は今のところこのMAXのタッカーと6mmの針を常用しています.もちろんこれで針は曲がらないかというと,曲がることもありますし,奥まで入っていかないこともあります.その場合は曲がった針は除去して再度打ち直しますし,奥まで入らないものはペンチの先などで曲がらないように押し込んでいったりします.意外にこの押し込むためには結構なスキルが要ったりするんですが.

また,上で紹介したトピックの中では洗濯ばさみを使ってシートを伸ばしたりしていますが,これは今となっては懐かしいというか,正直気休めのために固定したに過ぎません.ですので今はシートの位置決めでは何も使っていませんので道具としては

(1) MAXのタッカーと6mmの針
(2) 余ったシートを切るはさみ
(3) 古い針や曲がった針を抜くペンチ(追加押し込みにも使用)
(4) 以前から刺さっている針を浮かせる幅広めで先端薄目のマイナスドライバー
(5) シートベルトを取り外すドライバーやレンチ

ぐらいでしょうか.

<シートベース樹脂の固さ>

シートベース樹脂の固さについては各社,各モデルで様々な硬さのものがあります.Z1,Z2の時期のカワサキ車のような鉄製のものは除き,他は大体樹脂製でありますが,その樹脂の種類や場所によっても分厚いところは針が通りにくいなどもありますので,一概にどこの会社のどの車種が通りやすいとか通りにくいとは言い切れないところがあります.まあ私が良くやっているカワサキの80-90年代のオンロードモデルであれば,先述のMAXのタッカーで半分ぐらいは針が入っていきますので,そこからはスキルを駆使して押し込めばなんとかなるようです.それでも結構なトライ回数になるケースがあったりしますが...

関連記事3:XANTHUS2号機シート張替えで多数針が曲がる

ちなみに一概には言えませんが,この時期のカワサキでもベース樹脂の色が白のものは針の通りが比較的スムースで,黒いのは多少苦労するケースが多いような気がします.同じ時期の他社はどうかというと,これが車種によっても結構ことなります.私のやった範囲ではホンダは硬め,ヤマハの多くはカワサキとほぼ同じな感じですが,私の経験では場所によって難易度が違いやすいかんじでしょうか?スズキは結構堅めが多いように思います.でも一応私の場合はこのタッカーと針で張替えまで行っていますので,不可能ではないようなレベルのものだけをやってきた感じですね.

なので,正直針の通りやすさはやってみないとわからないということもあり,まずはシートの硬さを確認するため,タッカーで裏側から一度針を打って,作業できそうかどうかを確認しておくことをお勧めします.

<シート生地の選定>

バイクシートに求められるのは大体下記の性能になります.

(1) 着座時の摩擦に堪える耐久性,耐摩耗性
(2) 屋外保管の高温,低温,日射に耐える対候性
(3) シートの複雑形状にフィットする伸縮性
(4) 針での固定に堪えうる引張強さ

で,実はこれらはすべて実際やってみないとわからないものです.なので手っ取り早いのはバイクシート用で専門業者さんが長い期間売っている生地をまず短尺で買い,とにかく張り替えてみるというものです.というのも私の場合,シートの材質については試行錯誤を繰り返した時期もあり,結局(3)の伸縮性とのバランスを考慮して都度最適な材質だったろうか?というのを張替え作業の手間やその後の耐久性などを見ながら判定しているからです.なので私の主張は”とにかく実績のあるもので試してみてね”ということでして,あんまり参考にならないわけです.ただ1点だけ色に関しては汚れが目立たない色にしたほうがいいというのは確実に言えることですね.まあこまめにお掃除できる場合はそうでもありませんが.

なお,ニーズが多いものに限りますが,社外品のシート生地を売っているケースがあります.大体これらは梱包時シワシワになっていますので,シートを張り替えてすぐはそのしわが残っていますが,季節によって違うものの2週間〜1か月もすれば大体見えなくなることが多いようです.

シート張替え前の準備というとこんな感じですかね.次回は張替え作業そのものについて語っていこうと思います.

KEN-Z's WEBのトップへ NEXT