No.6- タイヤ(交換作業編)

前回は日々タイヤメンテ,交換するタイヤの選定というか選択と,必要な工具などのご紹介と,私が経験してきた失敗例などをご紹介しましたが,今回はそのような逆境の中でもやっぱり自分でタイヤ交換したい人に少しでも助けになるようなアドバイスめいたところをご紹介していこうと思います.

<ビードブレイカーの使い方>

私の場合,そんなに高額なビードブレイカーは購入できないので,はじめは2輪用の小型なものを使用していました.しかし,何度か使ったところですごく硬化したタイヤのビードを落とそうとしたときに,レバーがぽっきり折れてしまい,今では自動車用のものをホイールの下に算木を敷いて高さを合わせて使用することにしています.この自動車用のものは特段高額なものではありませんが,初めに購入したものよりはしっかりしたつくりで重宝していたりします.

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そして,ビードブレイカーの取り扱いについて,コツというのは私なりに感じている範囲では下記のようになります.

(1) 必ずバルブのコアを完全に抜いてしまう(微妙な残圧をなくす)
(2) バイクの場合リム幅が狭いので,ホイール下に算木を挟んで高さ調整する
(3) ホイール心とビードブレイカーの中心はきちんと合わせる
(4) ブレイカーの爪はホイールとのギリギリを狙っていれる
(5) 1か所やって無理なら,ホイールを30度ぐらい回転させて再度行う
(6) 固着がなければ90度ぐらいビードが外れて以降は体重をかけて外す

といった感じでしょうか.まあはじめはビードを落とすだけで大変な思いをした時期もありましたが,最近は結構すんなりでして,あんまり意識して作業してなかったりします.

<タイヤとホイールの分離>

ここからタイヤレバーが出てきて,比較的体力仕事に類する仕事が増えてきてしまいます.といってもタイヤレバーでリムからビードを出すのは自転車のタイヤ交換と同じですので,そこにプラスαのコツがあるといった感じです.

(1) 作業中ブレーキディスクにでったいに体重を掛けない
(2) タイヤのリム接地面やビード,ホイールのリム内側などにビードクリームを塗布
(2) できるだけブレーキディスクのある側を上にして,レバーを引っかける
(3) バルブを流用するときは,できるだけ近くで力を入れる作業をしない
(4) レバーを入れる対角のタイヤのビードをホイール中央まで必ず落とす (5) タイヤレバーは2輪用の表面が平滑なものを使用する
(6) ホイールを置く台はディスクよりも大きく穴の開いたものを使う
(7) 同じくタイヤ外径よりも広いものが良い

この中で作業に集中しながらつい忘れてしまい,余計に苦労しなければいけなくなるのは(4)番です.これを忘れると,ビードがホイールリムを乗り越えるのにすごい力を要します.実は私の場合ビードクリームを長い間中性洗剤を半分に薄めたものを使用してきたり,ホイールを置く台は2X4材を適当につなげたものを使用していて,サイズが小さめなので作業性は悪かったりしますので,少し自戒の念を感じつつ書いています.なお,まだ記事でご紹介はしていませんが,今現在はビードクリームを使用するようになっていて,揮発もしにくいし,タイヤとホイールの摺動もずいぶん軽くなっているので,とても作業が早く楽になっていたりします.

そして,片側のビードを外してしまったあとに,もう一つ慣れるまではすごく苦労する作業が待っています.ホイールからタイヤを外すために,前段で外に出したビードとは逆サイドをリムを超えさせる作業がそれなのですが,これがいろいろやり方があったりしますので,作業の詳細は省きますが,

(1) ホイールリム,外すほうのタイヤビード,エッジにたんまりビードクリームを塗る
(2) タイヤレバーでタイヤ内側からリムにレバーを引っかけてタイヤを外側にめくる
(3) リムとビードを滑らすようにして徐々にタイヤをホイールから引っぺがす

と,書くと簡単そうですが,実はこれが慣れるまでは大変でしたし,実際ここでギブアップしたこともありました.また,タイヤが硬化しているとここで大汗をかいて梃子摺ることもあったりします.

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実はこの作業にはなかなか私も慣れることができず,最近になってYoutubeで人がやっているのを見て力を加える位置,方向やホイールの保持の仕方などコツを盗んだり,やはりビードクリームで滑るを良くすることが有効であるとわかったり,はたまた硬化しているタイヤはできるだけ柔らかくなる夏場に作業するようにしたり,様々な工夫でクリアしてきたものであります.まあ,それでもまだつたない作業ですので,自らの作業の詳細を動画でアップしたりはできませんけど.

<リムの清掃>

チューブレスタイヤの場合,タイヤの気密はリムとビードがきっちり密着していることで実現しているのですが,私がやっている車体というのは大体古いものが多く,リムの内側が長期間の放置の末腐食してしまっていたりします.ですので新たなタイヤを装着する前に,これをちゃんと平滑にする必要があるわけです.ここでの作業は

(1) 高さのある腐食がある場合,荒目のペーパーでやする
(2) 高さが低くなったら中目のペーパーでやする
(3) 爪が引っかからないレベルになったら細目のペーパーでやする
(4) 腐食がそう大変でない場合は真鍮ブラシなど柔らか目のものを当てる
(5) 綺麗にするのはリムの内側とビードが乗る面の2面
(6) 最後は異物がないように水拭き,乾拭きしてからビードクリームを塗る

という工程です.まあとにかく凹凸と異物をなくし,平滑にすることが大事.

<新タイヤの装着>

まず新たなタイヤをホイールに装着する前に,タイヤ側にもビードクリームをしっかり塗ることと,向きをちゃんと合わせることが重要です.ビードクリームは以前中性洗剤を使用していたころはこの作業中に中性洗剤の薄め液が揮発してしまい,なかなかタイヤが間貼ってくれなかったことがあります.なので絶対にビードクリームを使用することをお勧めします.また向きについては私も何度か回転方向を間違えてはめてしまい,外して付けなおしたことがあります.

タイヤを嵌める時に気を付けたいのは実はもう1点ありまして,靴底が綺麗になるようにできるだけ周辺をきれいにしておくということです.タイヤをまず片側のビードをリム超えさせるときにタイヤの側面に乗ってリムを嵌めるのですが,その際靴底から異物が落ちるとせっかく綺麗にしたリムとビードの間に挟まってしまう可能性が出てきます.ですのでこの作業の前の掃除は結構重要なのです.かといって室内でやったりはできないですし,いざ室内でやってもやっぱり靴がないと足の裏が痛くってしょうがないですからね.

<コンプレッサ>

タイヤがホイールにはまったら,私の場合,中性洗剤の薄め液を使っていた時の懸念から未だに再度ビードクリームをタイヤとホイールの隙間に塗り込むことにしています.まあ,作業がやはり完璧とは言えませんので念には念をということです.そしてコンプレッサでビードを載せることになりますが,ここはコンプレッサがないといかんともしがたいわけです.ある程度の空気の流量がなければビードを載せるのはなかなか困難ですし,このような事情からやはりコンプレッサのアリナシで自らタイヤ交換が可能かの分かれ道になるということになります.私の場合は比較的安価に小型のコンプレッサを入手しましたので,ここらへんで苦労することはなかったのですが,まだコンプレッサをお持ちになっていない方には,購入に抵抗を感じる方も多いものと思います.でも,実際ほかのバイクメンテや車のメンテ,家のDIYなど飛躍的に作業環境を便利にするものですので,私は小型のものを思い切って購入することをお勧めします.

ビードを載せる前にタイヤの円周に沿って地面にバウンドさせ,ビードが乗りやすくなるよう中心を合わせます.これで一度エアを入れてみてダメだったら再びバウンドさせるとよいかと.それでもダメな場合,ホイールの下に適当な厚みの算木を入れて浮かせることでホイール両側の密着がはかれ,ビードが乗りやすくなります.前章でご紹介したようにタイベルトで無理やり外周から応力をかける方法もありますが,さすがにこれでダメだったらせっかくハメたタイヤですが,あきらめてほかのタイヤに期待をかけるしかないようです.

あと,ビードを載せるときに5気圧以上の圧力をかける場合はくれぐれもタイヤの表面やサイド,溝底に傷がないのを確認してから行ってください.ビードを載せる時は通常より高い圧力をかけるために,タイヤには損があったら破裂の危険もありますので,特に中古タイヤを使用する際は要注意です.

最後は空気圧を合わせ.車体に装着,走行できるようになったら注意深く空気圧や外観を含め観察しておくようにしましょう.所詮素人が作業したものですので初期不良が出やすいわけで,過信は禁物です.高速で振れが出るケースもありますので,バランスとりをする場合は自作バランサで静的バランスをとるのもよし,信頼のおけるショップに任せて完璧を期すのもよしです.とまあ,リスクを自ら担保しながら様々チャレンジする中ではタイヤ交換はかなり充実感のある課題でもありますので,楽しみながら苦難にチャレンジできる方にはお勧めです. 

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