No.8- チェーン,スプロケット(メンテ,選定編)

最近ではチェーンの入手も様々なルートで安価に入手できたりしますので,ご自分でチェーンを交換する方も多いかと思います.今回はチェーンとスプロケットをまとめてでいきたいと思います.

<日頃のメンテナンス>

私の場合,走れるようになってすぐにやむを得ず手放すケースがあるので,メンテナンスというと長期保有している車体に限るということになりますが,まずどのようなメンテナンスをしているかをご紹介します.チェーンの種類にもシールチェーンとノンシールがありますが,これの差ははっきり言って注油のサイクルぐらいです.で,どんな油を塗布しているかというと,これはもう以前からずーっとチェーンソー用の油で大体粘度はISO VG110ぐらいのものを使っています.以前はホームセンターで購入していたのですが,今はamazonで小口のものであってもプライムで送料無料なので,残り少なくなってきたら購入って感じです.なぜチェーンソーのオイルを使用しているかというと,これが一番見た目とチェーン寿命の向上に役立つという判断からです.

私も学生時代の何にも知らなかったときにはCRCをチェーンにぶっかけて綺麗になったと自己満足に浸っていましたが,CRCは樹脂を侵す上にすぐに揮発してしまうので不適であることを学んで以来,チェーン専用のスプレータイプのチェーンルブとかを使用していました.でもこれだと泡が白くなって残ってしまい,見栄えがあまりよろしくなかったのです.最近はそんなことはないと思いますが,その時代では代替としてチェーンソーのオイルが良いと今となっては懐かしいニフティサーブのバイクメンテフォーラムで紹介されているのを見て,それ以来は愛用しているというわけなのです.

なお,ノンシールチェーンはシールチェーンに対して少し注油頻度を高めにしてやったほうがよさそうです.かといってすぐにナンバーの裏やホイールのリムがべとべとになってしまうほどはよろしくないので,程々が良いと思います.私の場合はノンシールチェーンの場合はホイールに少しだけオイルが飛んでいるぐらいが良くって,飛ばなくなったらすぐに注油するような感じで管理しています.なのでチェーン清掃の頻度よりもリアホイールの清掃のほうが頻度が高いというのが私のメンテナンスの特徴とも言えます.

関連記事1:ZXR750でレーシングスタンドを使用

ちなみにチェーンまわりの作業をするときは必ずエンジンを切りましょう.また,メインスタンドやレーシングスタンドでリアを浮かして作業するときはタイヤに不用意に触って回転するとチェーンとスプロケットとの間に指を挟んで簡単に切断してしまいますので,ご注意を.

<寿命の見極め>

チェーンの寿命判定について,サービスマニュアルを見ますと,車体に装着した状態でリンクのピッチの広がりを測定値から計算して出すというのと,あとは車体からはずしてリンクプレートが水平になるようにチェーンを掲げ持ち,下に垂れる角度で評価するというのがあります.後者は車体からはずしてでないとできませんし,前者も判定できるほどの精度で測定するというのがかなり難しいというのがあります.なかなか難しいので私の場合,チェーンの寿命は下記のような評価で判定しています.なお上から下に向けてだんだん判定の難易度が高くなってきます.

(1) シールチェーンのシールが破れて飛び出てくる
(2) チェーンが張っているところなのにリンクが屈曲している部分がある
(3) ホイールベアリングやキャリパーの影響がない状態で車体を押すときに重い
(4) 走行中にちょうどチェーン回転周期と同じ間隔で異音や違和感がある
(5) クランクケースが加減速中に微妙に鳴く

といった感じですが,(5)についてはチェーンではなくスプロケットがダメなケースもありますので,そこらへんは切り分けが必要ですかね?バイク屋さんの場合,大体両方いっぺんに替えるのでその必要もなさそうですが,私のような使えるパーツは使い倒すポリシーだと切り分けとかが重要だったりするのです.ちなみに私の場合中古のチェーンを入手して装着前に使えるかチェーン単体でチェックすることがありますが,その場合はリンクの伸びよりもリンクの動きのスムースさと,左右に曲げてみてガタの大小で判断することが多いですね.

関連記事2:ZXR750で異音を元に寿命判定

あと,ここで紹介しているオイル漬けにして”煮る!”という行為ですが,今までやれたことはありません.そこまでして延命したいノンシールチェーンがなかったというのが本当のところですが,少々硬くなったチェーンを廃オイルに漬け込んで摺動抵抗を少なくしたりはしていますので,それなりの悪あがきをしていたりします.

関連記事3:動きの渋いチェーンをオイル漬けで復活

<チェーンとスプロケットの選定>

私の場合遠乗りはしませんし,サーキット走行などの高速走行もしません.ですのでチェーンの種類は大体車重が相当重くない限りはクリップ式を使っています.これはひとえに作業が容易だからです.また,もしリンクを詰める必要があってもクリップさえ購入すれば再利用が可能ですので,そこらへんも安価であることからそうしています.またフリクションロスを気にしてノンシールチェーンも多用しています.また,特段問題が見られないメーカーであれば中国製の安価なチェーンも使用します.ただ,これらはノンシールチェーンの特性を理解した上で使用していますし,車体を売りに出すときも必ずノンシールチェーンを使っている旨は注記したりしています.それは過酷な使われ方をするバイクに刃ノンシールチェーン,クリップ方式は適さないと考えているからです.そして,もし走行中にチェーンが切れたりすると,後輪がロックして転倒したり,切れたチェーンがクランクケースを壊してしまい人材な被害が出たりする可能性があるのを理解しているからです.

ですので,ご自身のバイクライフをちゃんと考えて,チェーンに大きな負担を掛けるような走りをする場合は是非ちゃんとしたメーカーのシールチェーンを正しくカシメて使うようにしてください.私のwebで安価なチェーンを使っているのは必ずしも万人にお勧めできるものではないということで.

で,チェーンに関しては寛容な私ですが,実はスプロケットについては可能な限りアルミのものは使わないようにしています.これはアルミのスプロケットの寿命が,鉄製のそれなりのメーカーのものに比べて格段に短いことによります.そしてアルミスプロケットはドリブンスプロケット側に使われますが,これを交換するときはお店だと必ずチェーンとドリブンスプロケットも同時に交換することになります.要は安いアルミのスプロケットでチェーンやドライブスプロケットの交換まで高頻度に行わなければならず,バイクの維持費を高額に押し上げてしまう可能性があります.

事実,私はかなり多くの部品取り車を入手してきましたが,それはチェーンやドライブスプロケットがまだまだ元気なのにアルミスプロケットだけがほぼ坊主になってきるケースを何度となく見てきました.そのような場合,チェーンとドライブスプロケットは交換せず,中古で半分以上山のあるドリブンスプロケットのコンビネーションで全く問題なく使えることもあり,それ以来アルミのスプロケットは新たに購入してまで使用しないというポリシーを持つに至りました.まあ見た目は金色で格好よく見えたりするし,実際鉄製のドリブンスプロケットは多少高額なんで,無理もない話かと思いますが.

関連記事4:XANTHUSで異音原因のスプロケット交換(2部作)

<チェーンアジャスタを調整>

これもサービスマニュアルに載っていることなので,細かくは書きませんが,スプロケットやチェーンいずれか,もしくは両方が中古の場合,少し初期伸びが多く出るので引き気味に調整して少し走ったら再度調整するぐらいのことをしたほうが良いかもです.というのは実際のチェーンの初期伸びというより,中古のチェーンやスプロケットで組んだ場合,すき間に異物が挟まっているケースがあり,それが一度走行することで砕けたり,飛んで行ったりして,すき間ができる方向になるからではないかと考えています.まあ新品でも初期伸びのことを気にして再調整をしたほうが良いと書いてあるサービスマニュアルや指南書はありますので,再調整は必須と考えたほうがよろしいかと思います.

まあ中華製の安価なチェーンも長い目で見たら寿命が短いのかも知れませんが,あくまでもメンテナンスをしっかりやっていることは大前提ですので,乗車頻度が高い方や,いっぺんにまとまった距離を乗る可能性のある方は信頼のおけるチェーンを選んだ方がよいのでしょうね. 

KEN-Z's WEBのトップへ NEXT